DVB-T 送信機の概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 08:31 UTC 版)
「DVB-T」の記事における「DVB-T 送信機の概要」の解説
この図に基づいて、個々のブロックの信号処理について以下に解説する。 情報源符号とMPEG-2多重化(Source coding and MPEG-2 multiplexing) 圧縮された動画、圧縮された音声、データストリームがPS(Programme Stream)として多重化される。1つ以上のPSをまとめて、MPEG-2 TS(Transport Stream)にする。基本的にこのデジタルストリームが送信されセットトップボックスで受信される。転送されるデータのビットレートは符号化および変調のパラメータで変化し、5Mbit/sから32Mbit/sとなる(詳しくは下記の表を参照)。 スプリッタ(Splitter) Hierarchical Transmissionと呼ばれる技法を使うと、2つの異なるTSを同時に転送できる。これは例えば同じ搬送波でSDTV信号とHDTV信号を送信するのに使われる。一般にSDTV信号の方がHDTV信号よりも頑健である。受信機では受信信号の状況によって、可能ならばHDTVを使い、電波が弱い場合はSDTVを使う。 MUX適応とエネルギー拡散(MUX adaptation and energy dispersal) MPEG-2 TSは固定長(188バイト)のパケットの並びとなる。エネルギー拡散と呼ばれる技法で、バイト列が非相関化される。 外部エンコーダ(External encoder) 第一段階の誤り訂正符号化を行う。非2元ブロック符号、リード・ソロモン RS(204, 188)符号を使い188バイトのパケットのうち最大8バイトを訂正可能とする。 外部インターリーバ(External interleaver) 畳み込みインターリーブによって転送データの並びを再配置する。これにより、誤りが長期間に渡って発生した場合に対処する。 内部エンコーダ(Internal encoder) 第二段階の誤り訂正符号化を行う。畳み込み符号を使う。符号化レートとしては1/2、2/3、3/4、5/6、7/8の5種類がある。 内部インターリーバ(Internal interleaver) 再びデータストリームを再配置し、バーストエラーに対する耐性を強化する。ここではブロック単位の入れ替えが行われる。 マッパー(Mapper) デジタルビット列をベースバンド変調された複素シンボルの列にマッピングする。ここではQPSK、16-QAM、64-QAMという3種類の変調方式が使われる。 フレーム適応(Frame adaptation) 複素シンボル列が固定長(1512シンボル、3024シンボル、6048シンボル)のブロックにグループ化される。68ブロックを1フレームとし、4フレームを1スーパーフレームとする。 パイロット信号とTPS信号(Pilot and TPS signals) 受信を容易にするためにブロック間に信号を挿入する。パイロット信号は同期に使われ、TPS(Transmission Parameters Signalling)信号は送信信号のパラメータを含んでいる。なお、信号を受信して同期し復号するにはそれらのパラメータを受信機側で事前に知っている必要がある。従って、TPS信号は途中でパラメータが変更される場合や再同期が必要な場合などにのみ使われる。 OFDM変調(OFDM Modulation) ブロック列をOFDM方式で変調する。キャリアは2048本(2k)、4096本(4k)、8096本(8k)が使われる。キャリア本数を増やしてもペイロードのビットレートは増加せず、一定である。 ガードインターバル挿入(Guard interval insertion) 受信しやすいようにOFDMの各ブロックの前にcyclic prefixを挿入する。ガードインターバルの幅は元のブロック長の1/32、1/16、1/8、1/4のいずれかである。単一周波数ネットワークでは、符号間干渉を除去するためにcyclic prefixによるガードインターバルが必須である。 DACとフロントエンド(DAC and front-end) デジタル-アナログ変換回路(DAC)でデジタル信号をアナログ信号に変換し、RFフロントエンドで放送周波数(VHF、UHF)に変調する。帯域幅はチャンネルとして割り当てられている5, 6, 7, 8MHzである。DACの入力におけるベースバンドのサンプリングレートはこのチャンネルの帯域幅に依存する。 f s = 8 7 B {\displaystyle f_{s}={\frac {8}{7}}B} サンプル/秒であり、 B {\displaystyle B} はチャンネルの帯域幅をHzで表した値である。 DVB-Tシステム 8 MHz チャンネルのビットレート(Mbit/s)変調方式符号化レートガードインターバル1/4 1/8 1/16 1/32 QPSK1/2 4.976 5.529 5.855 6.032 2/3 6.635 7.373 7.806 8.043 3/4 7.465 8.294 8.782 9.048 5/6 8.294 9.216 9.758 10.053 7/8 8.709 9.676 10.246 10.556 16-QAM1/2 9.953 11.059 11.709 12.064 2/3 13.271 14.745 15.612 16.086 3/4 14.929 16.588 17.564 18.096 5/6 16.588 18.431 19.516 20.107 7/8 17.418 19.353 20.491 21.112 64-QAM1/2 14.929 16.588 17.564 18.096 2/3 19.906 22.118 23.419 24.128 3/4 22.394 24.882 26.346 27.144 5/6 24.882 27.647 29.273 30.160 7/8 26.126 29.029 30.737 31.668
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