ミル Codium fragile (Suringar) Hariot
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からだは円柱状で,規則正しく叉状に分岐し,分叉枝はほぼ同一の長さになり,全体で扇状となる。基部は直径1~2cmぐらいまでの盤状である。手触りはフエルト状でザラザラするが,これはからだがミル属の特徴である小さな嚢状の細胞が集まってできた多核嚢状体であるため。小嚢は棍棒状で先端が写真のように尖っており,細胞壁はやや厚い。生体は暗緑色~深緑色だが,浅いところに生育するものは水中では明るい黄緑色に見える部分もある。ミル属の藻体を押し葉標本にする場合は,熱湯で湯通しを行なった方が台紙につきやすく,塩抜きが充分に行なえる。しかし,ミルの台紙への付着は不十分で,しばしば剥がれやすくなってしまう事がある。
属名「Codium」は中性名詞で,ギリシャ語の「codion(絨毛(じゅうもう≒柔らかい毛)の如き皮)またはcodeia(頭)」に由来するという。種小名「fragile」は「脆い,弱い,砕けやすい,虚弱な」の意味。
ミルの形は模様としても使われており,海松文(みるもん)と呼ばれる。また,ミルは日本では飛鳥・奈良時代よりも前から食用とされており,税として収められていた証拠の木管も出土し,大宝律令(701年)にも税の対象として「海松」が記されている。ミルの深緑色は日本では古来より海松色(みるいろ)と呼ばれており,日本人は昔からこの独特の深緑色を認識していたようである。ミルは体内では赤い色をしているシホナキサンチンという光合成色素を多量に持つためこのような深緑色を呈しているのである。シホナキサンチンについてはヤブレグサのページを参照されたい。
高さ:10~30cm
俣水松
水松
水松布
水松房
水松菜
海松
海松布
海松房
海松菜
海松藻
美流
美留
見流
ミル (海藻)
(Codium fragile から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/08 01:52 UTC 版)
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ミル | |||||||||||||||||||||||||||
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![]() ミル
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Codium fragile (Suringar) Hariot (1889) | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ミル |
ミル(海松、Codium fragile)は、海藻(緑藻)の一種。世界の熱帯から温帯の海に広く分布し、浅い海中(干潮線より下)の岩礁上などに生育する。
枝の断面は円形で、規則的に二叉分岐して扇状に広がり、高さ40cmほどになる。色は深緑色。表面はビロード状に見え、触るとざらついている。これは紡錘形の細胞状構造(小嚢)が多数あるためである。小嚢は連続しており、全体が一つの多核体をなしている。
利用・文化
現在の日本では食べる習慣はあまりないが、古代には一般的な食用海藻で、租税としても納められた。和歌にも「見る」の掛詞として多数詠まれる。歌われた例として、『万葉集』巻第六「雑歌」946番(敏馬の浦を歌った一首)に見られる他、『土佐日記』「子の日」にも、海松の表記が見られるが、「うみまつ」と読ませている(内容は、子日ゆえ小松がほしいところだが、海上ゆえ無理であり、海女であれば海松でも取れたろうに、といった歌)。『伊勢物語』第八十七では、「海神が海松を髪飾りにした」と記述が見られる。独特の色は「海松色」と呼ばれ、外形を象った「海松模様」も用いられた。
近世の『和漢三才図会』(下 寺島良安 東京美術)では、「水松」と表記して、「うみまつ」と読ませ、「俗にいう海松」と説明している(海唐松)。
韓国では現在でも全羅道を中心にキムチの材料などとしてよく食用にされている。
関連項目
- ミルクイ(ミルガイ) - 通称ミルともいう
外部リンク
- Codium fragileのページへのリンク