【BLC】(びーえるしー)
boundary layer control
- 境界層制御。
翼の表面を流れる気流の境界層(層流と乱流の境目)を制御して、気流の剥離を防ぐ技術。
主として離着陸時や旋回時など、高迎え角での失速を防ぎ、抗力を抑えるために用いられる。
フラップやボルテックスフィン、ドッグツースなどにより実現される。
- 狭義においては、吹き出しフラップのことを意味する。
これはフラップの上面から圧搾空気を吹き出し、積極的に境界層を制御し、低速でも失速しないようにするものである。
F-104やF-4などのように高速向きの空力特性を持つ戦闘機を着陸させる際や、PS-1などの飛行艇を低速で着水させるために用いられる。
圧搾空気を用いるため複雑な機構となり、特に戦闘機では被弾時の被害が拡大しやすい欠点があるため、近年はあまり用いられない。
またエンジンの排気を使って圧搾空気を作るため、着陸時であってもエンジンの出力を絞ることが出来ない。特に超音速機では速度を抑えるため迎え角が大きくなり、前方の視界が悪くなる傾向にある。
これらの問題を解決するため、近年では推進用エンジンと別に、BLC専用のエンジンを搭載する機種も存在する。
境界層制御
レイノルズ数が大きくなると、境界層の流れも層流から乱流に変化する。上流の厚さの薄い部分は規則正しい層流を保つが、あるところから、下流は流体小部分が不規則に混合する乱流に変わる。境界層が乱流に変わると、層の厚さも摩擦抵抗も著しく増加する。また、境界層がはがれると物体の後方に渦の群れが発生し、圧力が下がるため、物体を流れの方向に押し流すような力、いわゆる圧力抵抗を与えるので全体の抵抗は著しく増大する。このため、境界層の発達を抑えて摩擦抵抗を低減したり、剥離を防止する目的で境界層吸込み装置などによって境界層の性質が制御される。
参照 境界層、摩擦抵抗、圧力抵抗境界層制御
(Boundary Layer Control から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 16:39 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動航空宇宙工学における 境界層制御(きょうかいそうせいぎょ、英: Boundary layer control、BLC)は、航空機の主翼の境界層を制御する複数の手法を意味する。層流境界層維持が目的時には、層流制御 (Laminar flow control,LFC) とも呼ばれる。
揚抗比を保ち高い迎角でも低速時の飛行特性を向上させる。同規模の機体に比べ境界層制御を備えた機体は短距離離着陸能力や高速巡航における飛行特性が大幅に向上する。
境界層制御を使用する航空機の例として日本の新明和PS-1・US-1・US-2飛行艇がある。これらの大型4発機は、境界層制御専用のエンジンで圧縮した空気を翼上面に吹き出して層流を作り出すことによって境界層剥離を防ぐ境界層制御を行なっており、高い短距離離着陸能力を備えている[1]。
脚注
- ^ 『防衛省開発航空機の民間転用に関する検討会取りまとめ』防衛省、2010年8月、26頁。
関連項目
- ブラウン・フラップ (Blown flap)
- コアンダ効果
- 高揚力装置
- 渦流制御翼
外部リンク
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