ARパラメーターの推定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 01:42 UTC 版)
「自己回帰モデル」の記事における「ARパラメーターの推定」の解説
上の方程式(ユール–ウォーカー方程式)は、理論的な共分散を推定値に置き換えることで、 AR(p) モデルのパラメーターを推定する為にいくつかの方法を提供する。下記のような方法が考えられる。 自己共分散もしくは自己相関の推定。便利な推定法を用いて自己共分散もしくは自己相関の項のそれぞれを分割して推定したものとする。推定の方法は多様であり、どれを選択するかは推定のスキームが持つ性質に影響を与える。例えば、ある方法では分散の負の推定量が生じうる。 Xt の予測値を同じ系列の過去の p 個の値として基礎づける最小二乗予測問題を構築する上での最小二乗回帰問題としての定式化。これは前方予測スキームとして考えられる。この問題についての正規方程式(英語版)は同じラグで現れる自己共分散を少し違った推定値で置き換えたユール–ウォーカー方程式の行列形式の近似と対応するように見える。 最小二乗予測問題の拡張形式としての定式化。ここで二つの予測方程式のセットを一つの推定スキームと単一の正規方程式に結合する。一つのセットは前方予測方程式のセットとなっており、もう片方は対応する後方予測方程式のセットとなっている。これはARモデルの後退表現と関連している。 X t = c + ∑ i = 1 p φ i X t − i + ε t ∗ . {\displaystyle X_{t}=c+\sum _{i=1}^{p}\varphi _{i}X_{t-i}+\varepsilon _{t}^{*}\,.} ここで予測値 Xt は同じ系列の p 個の将来の値に基づいている。このARパラメーターの推定方法はジョン・バーグ(John P. Burg) によるものでバーグの方法(英: the Burg method)と呼ばれる。バーグや後続の研修者はこの特別な推定値を"最大エントロピー推定量"と呼ぶが、この背後にある理論は推定パラメータ―のどのようなセットについても適用できる。前進予測方程式のみを用いた推定スキームと比べると、異なる自己共分散の推定値が得られ、推定量は異なる安定性の性質を持つ。バーグ推定量は特に最大エントロピースペクトル推定(英語版)と関連している。 他の考えられる方法として最尤法がある。異なる二つの最尤法が利用できる。一つは(大体は最小二乗スキームによる前方予測と同じだが)考慮する尤度関数を系列における当初の p 此の値を所与とした系列の後の値の条件つき分布に対応させるものである。もう一つは考慮する尤度関数を観測された系列の全ての値の無条件の同時分布に対応させるものである。これらの方法の結果における本質的な違いは観測系列が短い、もしくは過程が非定常に近い時に現れる。
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