50代男性を死亡させた容疑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/04 13:57 UTC 版)
「山本病院事件」の記事における「50代男性を死亡させた容疑」の解説
また、同病院で2006年6月に不必要な手術を行い患者(男性、50代)を死亡させていた疑いが浮上した。 同病院で勤務していた医師が捜査当局に対し供述したところによると、肝臓がんでもない患者を肝臓がんということに仕立て上げ、手術を行って死亡させたという。 手術の助手をつとめた医師は「院長から『肝臓がんということにして手術をしようや。もうかるで』と言われた」という。事前の検査によって腫瘍は良性であることがすでに判明していたにもかかわらず、患者に「肝臓がん」だと嘘を語り、手術を承諾させたというのである。逮捕された元主治医が逮捕前の県警の事情聴取に対して「良性とわかっていたが、理事長の指示に逆らえず、"肝臓がんの疑い"とカルテに記入した」と供述したという。 だが証言は得られているものの、患者の遺体はすでに火葬されていたため裁判上は立証は難しいと捜査当局は判断し、立証可能な、業務上過失致死容疑に切り替えられた。2010年2月6日、上記の件に関して、院長(=理事長)は業務上過失致死容疑で再逮捕された。十分な経験や技術がなかった分野であったにもかかわらず無謀にも手術を行い、さらに適切な止血等の処置をしなかった、との容疑での再逮捕である。 捜査当局が2010年2月9日の現段階で把握している経緯は次のようなことであったという。 2006年6月16日午前10時、同病院の院長、および別の医師が院長の助手として、肝臓手術を開始。肝静脈を損傷し、大量出血させた。(このような場合、通常は適切な止血や縫合を行い、手術後も十分な時間、患者の観察を続けるのだが)院長は傷口を縫合した段階ですぐに手術室を出て酒を飲みにいってしまった。患者は出血が止まらず、容体が悪化したため、看護師が院長に電話連絡をとろうとしたがつながらず、助手らが措置をしたものの患者は結局心肺停止状態となり死亡した。このような事態になった場合、本来ならば医師法にもとづいて「異状死」の届けを警察に出さなければならないのだが、院長および手術の助手をつとめた医師は、患者の死因を「急性心筋梗塞」と偽って記述し、届けも警察に出さずに済ませてしまった。 助手を務めた医師は(2009年2月9日時点の段階で)容疑を認めているという。にもかかわらず(2009年2月9日時点の段階で)院長は否認しているという。 毎日新聞による病院関係者への取材で、山本病院が、この男性の件だけで、少なくとも約300万円もの診療報酬を得ていたことが、判明した。肝臓手術だけなら約100万円だが、さらに不要な治療を重ねることで3倍にふくらませていたという。奈良県警は、理事長らが被害男性を診療報酬稼ぎに利用していたとみて調査することになった。 この件では、手術で摘出された腫瘍の検体が同病院で放置されていたのを看護師が発見し、機転をきかせ病理検査に出したところ、腫瘍が「良性」だったとの結果を得、その検査結果の控えを保存していたので、院長らが犯罪行為を行ったことの物的証拠となっているという。 また、通常、肝臓手術というものは、経験を積んだ執刀医や麻酔医らで構成する医師3人から5人のチームで行うものなのだが、理事長らは肝臓手術の経験がなかったうえに輸血の準備もせず、無謀にもわずか2人で肝臓手術を実施し男性を死亡させたという。さらに手術の約7か月後に奈良県によって事情聴取が行われた際には、院長は肝臓手術の経験がなかったにもかかわらず、「肝臓手術の経験は10回以上あった」などと虚偽の回答をしていたことが、毎日新聞の奈良県への取材により判明した。
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