4サイクルの大量化学療法で成績改善 LANCETの論文とは? わかりやすく解説

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4サイクルの大量化学療法で成績改善 LANCETの論文

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 07:27 UTC 版)

髄芽腫」の記事における「4サイクルの大量化学療法で成績改善 LANCETの論文」の解説

世界で最も権威が高いといわれる医学雑誌The LANCET2006年9月掲載されアメリカからの報告小児がん集学的治療有名なSt. Jude小児病院からの報告である。 Gajjar A , et al: Risk-adapted craniospinal radiotherapy followed by high-dose chemotherapy and stem-cell rescue in children with newly diagnosed medulloblastoma (St Jude Medulloblastoma-96): long-term results from a prospective, multicentre trial. Lancet Oncol 2006 Oct;7(10):813-20 日本での紹介記事 http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/post_100.html http://health.yahoo.co.jp/news/detail?idx0=w16060906 手術の後に、患者平均リスク髄芽腫残存腫瘍が1.5cm2以下でかつ転移がない)、または高リスク髄芽腫残存腫瘍が1.5cm2より大きいか、脳脊髄幹に転移がある)に分類された。 すべての患者リスクに応じて調整された全脳全脊髄放射線療法受けた標準リスクに対しては23.4Gy、そして高リスクに対しては36.0 - 39.6Gy)。それに続いて4回のサイクルの、シクロホスファミドベースの、高用量化学療法行った134人の髄芽腫の子供たちが治療を受け(86人が標準リスク48人が高リスク)、119人(89%)が計画されプロトコル完了した治療関連死はなかった。 5年生存は、標準リスクグループ患者85%(95%の信頼区間75 - 94)、高リスクグループ70%(54 - 84であった(P=0.04); 5年の無イベント生存は、それぞれ83%(73 - 93)と70%(55 - 85であった(P= 0.046)。 116人の患者病理組織中央の検査受けたが、組織学的サブタイプ5年イベント生存関連があった(P=0.04):クラシックな組織のものは84%(74 - 95)、繊維形成腫瘍77%(49 -100)、そして大細胞の退形成性腫瘍57%(33 - 80であった通常髄芽腫化学療法1年間ほど継続されるが、この報告では幹細胞救援併用することにより、治療強度高めとともに治療期間短縮して、約4か月という短期間での化学療法成功している。なお、用いられ薬剤は、シスプラチンビンクリスチン大量シクロフォスファミドである。 この報告では、4サイクル化学療法1クール分の抗がん剤の量は、直ち骨髄破壊するような量ではなく幹細胞救援なしでも実行不可能な量ではない。しかし、幹細胞救援を伴うことにより、骨髄の回復早めることにより、各クール間隔短縮し結果として短期間治療可能にしたものである。抗がん剤短期間多くの量を使用した方が耐性生じ前に決着をつけることができるという小児科の医師にとってはよく知られ知見があるが、これを地で行ったような報告評することが可能ではないか思われる。 そして、特に着目すべきは、高リスク群では70%もの5年イベント生存率達成していることである。 標準リスク群も、83%の5年イベント生存率であり、優秀な成績であるが、別に報告しているとおり、アメリカでは標準リスク群で大量化学療法用いずとも、80%を超える成績達成しており、かつこの治療日本でも可能であるので、副作用厳し大量化学療法標準リスク群に使うことについては異論もあるものと思われる短期間患者拘束期間少なく治療終えることができるというメリットをどう評価するであろうまた、実際には、本プロトコールでは、以下の通り標準治療よりもトータル抗がん剤の量は少なくなっている。したがって標準治療よりも抗がん剤による晩期障害恐れ少なくなる可能性もあるかもしれない。その点が今後評価委ねられることになる。 (標準治療 全8クールシスプラチン75mg/m2 day0 総量600mg/m2 ビンクリスチン 1.5mg/m2 day1,7,14 総量36mg/m2 シクロフォスファミド 1g/m2 day21,22 総量16g/m2 (本プロトコール 全4クールシスプラチン75mg/m2 day-4 総量300mg/m2 ビンクリスチン 1.5mg/m2 day-4,6 総量12mg/m2 シクロフォスファミド 2g/m2 day-3,-2 総量16g/m2 高リスク群については、全脳全脊髄照射が36.0 - 39.6Gyと高いことから、晩期障害懸念されさらなる減量照射による治療法開拓望まれる。 しかし、いずれにせよ大量化学療法優秀な成績達成し、かつ治療による副作用死はなかったと報告されており、安全に施行できる治療法であることから、大変に参考になる報告思われる日本では通常の大学病院での高リスク髄芽腫5年進行生存率は30-40%程度思われる

※この「4サイクルの大量化学療法で成績改善 LANCETの論文」の解説は、「髄芽腫」の解説の一部です。
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