1982年実施の学習指導要領
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「高等学校必履修科目未履修問題」の記事における「1982年実施の学習指導要領」の解説
1978年(昭和53年)告示・1982年(昭和57年)度以降入学生実施の学習指導要領 から、新しい必履修科目として現代社会が加わった。現代社会が受験科目となる可能性に対して、高等学校の現場では不安が広がった。しかし実際には、共通一次試験を除き、ほとんどの大学は現代社会を入試科目として採用せず、一部の私立大学が、現代社会ではなく同等の倫理および政治・経済を受験科目(選択科目)とするなどに留まった。その結果、主に進学校では、現代社会の教科書を買わせるが、実際の授業は別の科目が行なわれることが多かった。 (注)ただし、その中には、文部省(当時)の研究指定校として、学習指導要領に拘束されないカリキュラムを組むことができた学校も存在し、1982年度から 1993年度までに入学した高校生のうちで、現代社会を受けていない生徒すべてが未履修となるわけではない。 加えて1987年より、現代社会が共通一次試験・大学入試センター試験の必答科目から削除された。その影響で、この決定がなされた1985年以降、普通科の高校では授業をしない学校が増加した。同様な事例は理科Iにもおきたが、こちらは共通一次試験・センター試験の科目が理科Iでの内容を含む範囲であったため、曲がりなりにも授業は行われていた。 (注)補足すると、理科Iは物理・化学・生物・地学の四科目の一部を切り抜いて集めたような科目であり、出題範囲はそれらを含めて行われたため、四科目のいずれかを履修すると、一応は理科Iの1/4も授業を行うことになる。 また数学のうち「微分・積分」については、共通一次・センター試験および文系学部の二次試験、私大文系学部では出題されず、「確率・統計」についても「統計」分野は、当初旧課程の受験者を考慮して1986年までは出題範囲から外れ、その後センター試験時代を含めて結局出題されず、二次試験、私大でも出題されないところが多かったため、文系志望者では「微分・積分」「統計」、理系でも「統計」は学習せず、授業時間を既習分野の演習などにあてることが多かった。 (注)ただし、数学は「数学I」のみが必履修のため、文系で「微分・積分」を履修しないことそのものは問題にはならない。ただし、「微分・積分」の時間に他の科目を扱う場合には当然問題となる。また、「確率・統計」で「統計」の授業がない場合、当然単位時間が不足するわけだが、このことは当時は問題にされなかった。
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