18世紀半ばの戦術的停滞とは? わかりやすく解説

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18世紀半ばの戦術的停滞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 04:45 UTC 版)

帆船時代の海戦戦術」の記事における「18世紀半ばの戦術的停滞」の解説

18世紀英仏間の戦いでは、戦力等しいかそれに近い場合には決着付かない傾向にあったフランスこの世紀を通じてイギリスよりも軍艦の数で劣っていたため、最小コスト戦い激戦避けて損耗を減らすことに務めた。よってイギリス海軍数的優位揺らぐことはなかった。フランス艦は逃走しすいよう風下交戦することを好んだ。彼らはイギリス軍風上取らせておき、それが並走しているときも、風を背に攻撃仕掛けてくるときも、前進つづけた攻撃側は敵戦列に対して風を背に垂直に襲いかかるのでなく、斜めの、あるいは湾曲した線に沿って仕掛けることとなった攻撃側は「艦首艦尾連なり("a bow and quarter line")」、すなわち先頭艦の艦尾に次艦の艦首がつづき・・・という一本の線中に呑み込まれてしまう。この陣形は、帆走力にばらつきのある多数の艦からなる場合維持困難なものであった。 敵の戦列中央襲おうと舵を切って真っ先戦闘突入した艦が、帆装損傷して操舵不能になるということがしばしば起こった。同じ陣形維持できた場合でも、今度損傷受けた艦の速度に他の艦が制約されたり、また敵艦風下逃亡したりした。また、円材に損傷を受けやすいのは常に風上から攻撃仕掛ける方の艦であり、それは風下の艦が慎重に狙いをつけていない場合でも同じだった風下の艦は風で敵と反対側に傾くので、砲弾が常に高く飛ぶ傾向があった。また、攻撃側風上にいる限り風下の艦は常に素早く離脱することができた。 18世紀戦争ではほぼ等しい戦力艦隊同士では戦術的に決着付かないものが続出したマラガの海戦1704年)、リューゲン島戦い1715年)、トゥーロンの海戦1744年)、ミノルカ島の海戦1756年)、ナーガパッティナムの海戦(1758年)カッダロールの海戦(1758年)ポンディシェリーの海戦1759年)、ウェサン島の海戦(1778年)ドッガー・バンク海戦(1781年)チェサピーク湾の海戦1781年)、フーグランドの海戦1788年)、オーランド海戦1789年)などである。これらの中にはイギリスが勝たねばならなかったチェサピーク湾の海戦のように、戦略的に重要な結果もたらしたものもいくつかあるが、戦術的にはすべて未決着である。提督達の多くが、力の均衡した艦隊間の戦いで決着付かない信じ始めた18世紀海戦戦術的に決着付いたのはすべて、一方戦力明らかに他方上回っていた追撃戦である。例え1747年第一次第二次フィニステレ岬の海戦1759年ラゴスの海戦キブロン湾の海戦1780年サン・ビセンテ岬の月光の海戦などである。 イギリス海軍変革は、1744年トゥーロンの海戦後の2人提督による見苦しい論争で遅れを来したトゥーロンの海戦で、トマス・マシューズ提督指揮するイギリス艦隊フランス艦隊追いついておらず、並走する戦列形成できていなかったが、取り逃がすことを恐れたマシューズフランス戦列の後部総攻撃するように命令発した。しかし、その意図伝えうる信号存在しなかったため、距離をあけて後衛戦隊指揮していた次席提督のレストック(彼はマシューズ平素から敵視していた)は、それをにとってその位置とどまった議会におけるレストックの友人らによって提起され一連の軍法会議において、マシューズとそれに従った艦長たちは罰せられ、レストックは無罪となったその後の戦闘では、提督たちは海軍交戦規定から逸脱しようとするたびにマシューズ運命思い出すこととなった

※この「18世紀半ばの戦術的停滞」の解説は、「帆船時代の海戦戦術」の解説の一部です。
「18世紀半ばの戦術的停滞」を含む「帆船時代の海戦戦術」の記事については、「帆船時代の海戦戦術」の概要を参照ください。

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