バルトーク:14のピアノの小品(14のパガテル)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バルトーク:14のピアノの小品(14のパガテル) | 14 Zongoradarab(14 Bagatelles) Op.6 | 作曲年: 1908年 出版年: 1908年 初版出版地/出版社: Rozsnyai |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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4 | 私が羊飼の若者だったとき "Mikor gulyasbojtar voltam" | No Data | No Image |
5 | ああ私たちのそばに "Ej' po pred nas,po pred nas" | No Data | No Image |
13 | 彼女は死んだ "Elle est morte..." | No Data | No Image |
14 | ワルツ-踊る恋人 "Valse:Ma mie qui danse" | No Data | No Image |
作品解説
1907年、ブタペスト音楽院のピアノ教授となり、安定した生活をおくっていたバルトークは、翌年1908年、《第一バイオリン協奏曲》、管弦楽曲《2つの肖像》、ピアノ曲《十のやさしい小品》、《第一弦楽四重奏曲》、またピアノ曲《2つの悲歌》、《子どものために》、《7つの素描》の一部など、多くの作曲をしている。《14のバガテル》もこの年に作曲された実験的な作品のひとつである。バルトークはこの中で様々な音楽語法を模索し、後の創作の基盤としている。初演は、1908年、ベルリンにて行われ、ブゾーニもこれを絶賛した。
第1曲:右手にはシャープが4つ、左手にはフラットが4つずつつく。嬰ハを基音とするドリア調と、ハを基音とするフリギア調の複旋法になっており、響きの上では、一つの中心性が認められる。
第2曲:変イ音(基音)と変ロ音の和音をはさんで、旋律が徐々に音域を広げていく。
第3曲:右手で五音からなるオスティナートが繰り返され、左手で旋律がゆるやかに歌われる。
第4曲:ハンガリー民謡による旋律に、和声づけしたもの。
第5曲:スロヴァキアの民謡による旋律(ドリア調)に、同和音の連打による伴奏づけがなされている。
第6曲:明確な三部形式。五度和音と、三度和音による伴奏づけがなされている。
第7曲:テンポが次々に変化する。「テンポの指示の前に記されたrit.やacc.を厳守すること。」
第8曲:バルトークの手紙によれば「最も実験的な曲」とされる曲のひとつ。左右の音をずらしながら、さまざまな不協和音が奏でられる。
第9曲:和音が一切なく、ユニゾンで奏される。実験的な曲。旋律の記譜法において、試行錯誤があったようだ。
第10曲:102小節で、この曲集の中では、最大の規模と奥行きをもった曲。機能から解放された不協和音の探究がおこなわれている。
第11曲:第7曲と同様、テンポが頻繁に変化する。
第12曲:次第に速まる同音の連打につづき、半音階的・旋法的な短い旋律がうたわれる。
第13曲「彼女は死んだ・・・」:バルトークの想い人、シュテフィ・ゲイエルとの恋の破局と関連がある。ハンガリー語で「彼女は死んだ」と書かれている箇所で登場するモティーフ、変ニーヘー変イーハー変ニ(本来は半音高い)は、シュテフィ・ゲイエルのモティーフとしてバルトークが扱っていたものである。
第14曲「私の恋人は踊る・・・」:第13曲と同様に、シュテフィ・ゲイエルとの破局と関連がある。同様のモティーフが登場する。この曲をオーケストレーションしたものが、《2つの肖像》の第2曲〈醜いもの〉となっている。
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