亜硫酸ナトリウムとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 自然 > 物質 > 化合物 > 無機化合物 > 亜硫酸ナトリウムの意味・解説 

ありゅうさん‐ナトリウム〔アリウサン‐〕【亜硫酸ナトリウム】


亜硫酸ナトリウム

分子式Na2O3S
その他の名称亜硫酸ソーダ、Sulfurous acid disodium、Sodium sulfite、亜硫酸ナトリウム、Sulfurous acid disodium salt
体系名:亜硫酸ナトリウム亜硫酸ジナトリウム


物質名
亜硫酸ナトリウム
化学式
Na2SO3
原子量
126.0
密度(g/cm3
1.48

無色個体溶けやすい。

亜硫酸ナトリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/02 10:16 UTC 版)

亜硫酸ナトリウム

無水物

水和物
識別情報
3D model (JSmol)
ChEBI
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.028.929
EC番号
  • 231-821-4
E番号 E221 (防腐剤)
PubChem CID
RTECS number
  • WE2150000
UNII
CompTox Dashboard (EPA)
特性
化学式 Na2SO3
モル質量 126.043 g/mol
外観 白色の固体
匂い 無臭
密度 2.633 g/cm3 (無水物)
1.561 g/cm3 (七水和物)
融点

33.4℃(七水和物の脱水)
500 °C (無水物)

への溶解度 27.0 g/100mL (20 °C)
溶解度 グリセロールに溶ける
アンモニア、塩素に溶けない
log POW −4
酸解離定数 pKa ~9 (七水和物)
屈折率 (nD) 1.565
構造
結晶構造 六角形 (無水物)
単斜晶 (七水和物)
危険性
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
Health 2: Intense or continued but not chronic exposure could cause temporary incapacitation or possible residual injury. E.g. chloroformFlammability 0: Will not burn. E.g. waterInstability 0: Normally stable, even under fire exposure conditions, and is not reactive with water. E.g. liquid nitrogenSpecial hazards (white): no code
2
0
0
引火点 不燃性
安全データシート (SDS) ICSC 1200
関連する物質
その他の
陰イオン
亜セレン酸ナトリウム
その他の
陽イオン
亜硫酸カリウム
関連物質 亜硫酸水素ナトリウム
ピロ亜硫酸ナトリウム
硫酸ナトリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

亜硫酸ナトリウム(ありゅうさんナトリウム、sodium sulfite)は無機化合物亜硫酸ナトリウム塩。化学式Na2SO3。多くの工業用途があり、褐色化防止、防腐剤として食品や化粧品に使われる[1]。副作用に皮膚炎や蕁麻疹、アレルギーがあり、喘息における気管支収縮の誘発や皮膚症状の報告が多い[1]

用途

主にパルプ・紙工業で利用される。写真工業においては、現像液の酸化を防ぐ目的で保恒剤として、あるいは定着液(チオ硫酸ナトリウム)をフィルムなどから洗い流すのに使われる。織物工業では脱色剤、脱硫剤、脱塩素剤として、革製品業ではなめし液の亜硫酸化に、化学工業ではスルホン化やスルホメチル化試薬として用いられる。チオ硫酸ナトリウムを製造する際の原料でもある。

チオ硫酸ナトリウムと同様に単体ハロゲンをハロゲン化水素に変換する性質を持ち、写真の作成やプールの塩素濃度を減少させるのに使われる。

他に鉱石の浮遊選鉱法、オイルの回収、染料の製造、洗剤が挙げられる。アルデヒドとの反応により亜硫酸水素付加物を、ケトンとの反応によりスルホン酸を与える。アルデヒドやケトンの精製や単離に用いられることもある。

食品では、褐色化防止剤、酸化防止剤や保存料(防腐剤)として[1]。ドライフルーツの退色を防いだり、肉類を保存する際の防腐剤、ワインの酸化防止剤としても使われる。

また化粧品の防腐剤として、化粧品のクリーム、ヘアカラー[1]

医薬品ではゲンタマイシン、メトクロプラミド、ドキシサイクリン、ジェネリックのプロポフォールに使われていることがある[1]

排煙脱硫の過程で二酸化硫黄 SO2 を吸収した洗浄液に含まれる。

安全性

1970年には副作用が報告されるようになり、亜硫酸ナトリウムが使われた食品からの摂取により、皮膚炎、蕁麻疹、紅潮、低血圧、腹痛や下痢、アナフィラキシーや喘息を起こすことがある[1]。これらの報告の多くは、喘息における気管支収縮を誘発することについてで、経口、または外用の様々な形で生じ、喘息の人々の3-10%では呼吸症状の引き金となる[1]。このためアメリカ食品医薬品局 (FDA) は1986年に新鮮な食品への添加を禁止し、また濃度が10ppmを超える場合には成分表示をする措置をとった[1]。しかし、意図せず深刻な症状をきたしたという報告は続いている[1]

含有する化粧品や抗真菌薬、点眼薬などの使用によって、皮膚反応を起こすことがある[1]。接触アレルギーでは、183名の3.8%の人に亜硫酸ナトリウムの陽性反応があり、ほとんどの場合、ピロ亜硫酸ナトリウムにも反応を示すため、アレルギーが判明した場合これらを含めた亜硫酸ナトリウム全体を避けることを医師は告げる必要がある[2]

試験管研究では免疫活性化を抑制し、マウスでは移植片血管症を悪化させた[3]

反応

弱めの酸とも反応して二酸化硫黄ガスを発生させる。

飽和水溶液のpHは約9である。溶液を空気にさらすと徐々に酸化されて硫酸ナトリウムとなる。室温以下で水溶液から再結晶させると7水和物が晶出し、これは温かく乾燥した空気中で風解する。7水和物の結晶も空気中で酸化されて硫酸塩を与えるが、無水物は空気に対しては比較的安定である[4]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j Vally H, Misso NL. (2012). “Adverse reactions to the sulphite additives”. Gastroenterology and hepatology from bed to bench 5 (1): 16–23. PMC 4017440. PMID 24834193. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4017440/. 
  2. ^ Oliphant T, Mitra A, Wilkinson M. (2012-3). “Contact allergy to sodium sulfite and its relationship to sodium metabisulfite”. Contact dermatitis 66 (3): 128–130. doi:10.1111/j.1600-0536.2011.02029.x. PMID 22320666. 
  3. ^ Sucher R, Hautz T, Mohr E at al (2019). “Sodium Sulfite Exacerbates Allograft Vasculopathy and Affects Tryptophan Breakdown in Murine Heterotopic Aortic Transplantation”. Oxidative medicine and cellular longevity 2019: 8461048. doi:10.1155/2019/8461048. PMC 6476130. PMID 31089419. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6476130/. 
  4. ^ Merck Index of Chemicals and Drugs, 9th ed. Monograph 8451.

「亜硫酸ナトリウム」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



亜硫酸ナトリウムと同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「亜硫酸ナトリウム」の関連用語

1
亜硫酸ソーダ デジタル大辞泉
100% |||||




5
亜硫酸塩 デジタル大辞泉
100% |||||

6
還元漂白剤 デジタル大辞泉
100% |||||

7
ハイポ デジタル大辞泉
98% |||||

8
亜硫酸水素ナトリウム デジタル大辞泉
94% |||||



亜硫酸ナトリウムのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



亜硫酸ナトリウムのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
独立行政法人科学技術振興機構独立行政法人科学技術振興機構
All Rights Reserved, Copyright © Japan Science and Technology Agency
がん情報サイトがん情報サイト
Copyright ©2004-2025 Translational Research Informatics Center. All Rights Reserved.
財団法人先端医療振興財団 臨床研究情報センター
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの亜硫酸ナトリウム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS