食品利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 14:24 UTC 版)
日本で人家の軒先などに一般的に見られるツバメの巣は、唾液だけでなく泥や枯れ草によって作られるので食用には適さないが、アナツバメの巣は世界中で高い人気を誇る食材となっており、スープの具やデザートの素材や飾り付けとして用いられる。 中華料理の中でも特に広東料理で利用される。元末明初頃に中華世界に知られるようになり、清代になるとふかひれや干しあわびと並ぶ高級中華食材として珍重されるようになった。燕の巣が出る宴席は「燕菜席」と呼ばれ、満漢全席に次いで格式の高い宴席となっている。2013年、中国政府は綱紀粛正の一環として、接待の宴席に高級料理を用いることを禁じた。この際、高級食材の例としてふかひれとともにツバメの巣が挙がるなど、21世紀の現代においても贅沢品の代表格であることが窺える。 日本においても、江戸時代初期の料理書『料理物語』に、「燕巣(えんず)」という名で記載されており、吸い物や刺身のつまとして用いられていた。日本では上記のとおり生産されておらず、交易によって輸入されたものであり、中国同様に貴重な食材である。 独特のゼリー状の食感が特徴である。タンパク質と多糖類が結合したムチンが主成分であり、タンパク質と共に、糖質の一種であるシアル酸を多く含んでいる。また、インターロイキン-6や上皮成長因子(EGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)様のサイトカインが多種含まれることが近年わかってきた。古くから美容と健康に良いとされている漢方食材であり、清の西太后も連日食したと伝えられている。 巣によって羽毛などの巣材を比較的多く含むものから、全くと言っていいほど含まないものまで差がある。混ざり物などが少なく作られて間もない物が重宝され高値がつきやすい。調理に際しては湯で柔らかく戻してから、ピンセットなどで丁寧に羽毛などを除去する。
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