アミグダリンの食品利用と健康被害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/17 07:27 UTC 版)
「アミグダリン」の記事における「アミグダリンの食品利用と健康被害」の解説
アミグダリンを含む食品あるいはそれを加工した商品はアーモンド、杏仁豆腐、ビワ酒や枇杷茶、カリン漬等広範囲にわたる。アミグダリン分解産物のベンズアルデヒドが独特の芳香をもつため広く利用されている。また漢方薬の咳止めの有効成分としても研究されている。 一方でいくつかの薬効に対して否定的な研究も存在する。例えば癌(悪性腫瘍)に効く成分とされることがあるが、米国国立癌研究所(NCI)によると、癌への治療や改善、延命などに対して効果がなく、逆に青酸中毒を起こし死に至る恐れがあることを指摘している。 また、アミグダリンをビタミンB17として扱った事があったが過去の話で、現在では否定されている。健康食品(サプリメント)などに配合される事もあるが、生体の生命活動に必須となる栄養素ではなく、欠乏症の症例も出ていない事からビタミンの定義から外れてしまう。つまり、アミグダリンはビタミンとは言えない。それどころか、サプリメントとして使用したために青酸中毒となり、健康障害を引き起こしたり、場合によっては死に至るなどおよそ健康とはかけ離れた結果となった例が多数報告されている。なお、米国では米国食品医薬品局(FDA)により、アミグダリンの販売は禁止されている。そのほか、ビタミンCと共に摂取すると、相互作用によりアミグダリン由来の毒性が高まる例が報告されている。 国立健康・栄養研究所は、「癌に効き、癌細胞だけを攻撃する」「ビタミンの一種であり、アミグダリンの欠乏が癌や生活習慣病の原因となる」などといったアミグダリンの持つとされる健康効果について、その科学的根拠が確認できない、あるいは否定されているにもかかわらず、その健康効果を強調した健康食品が後を絶たないことや、そのような健康効果について特別な期待をして過剰摂取することは健康障害を招く危険性があるとして注意を呼びかけている。
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