食卓・厨房・食品産業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 16:24 UTC 版)
「ステンレス鋼」の記事における「食卓・厨房・食品産業」の解説
フォーク、スプーン、ナイフなどのカトラリー類では、ステンレス鋼が多量に使われており、ステンレス製カトラリーのシェアは圧倒的といってもいいほど大きい。古くはステンレス鋼が実用化されたときから、ステンレス鋼の有用な使い道としてステンレス製カトラリーが使われてきた。一般的なカトラリーにはオーステナイト系が用いられ、高級な食卓用ナイフには高硬度なマルテンサイト系も利用されている。また、ステンレス製の箸も韓国では利用が浸透している。 調理器具では、ステンレス製の包丁も主流である。刃物類には、高炭素のマルテンサイト系の焼入れ焼き戻し材を使用して、ロックウェル硬さが 50 から 60 の高硬度で実用に供される。刃先となる芯材にはマルテンサイト系を使い、それをフェライト系で挟み込んだ構造の刃の包丁などもある。他には、トレイ、ボウル、お玉などの調理器具もステンレス製が多い。 台所の流し台も、現在ではステンレス製が定番となっている。ホーローや人工大理石などの他の材料と比較すると、ステンレス製流し台は耐久性があり、メンテナンスしやすい。ステンレス製流し台本体は、板材からプレス成形で造られる。台所の天板でも、ステンレス鋼が選択肢の一つで、エンボス仕上げや着色処理による外観を良くしたものも採用されている。 鍋やフライパンなどでもステンレス製が使われている。ただし、ステンレス鋼は熱伝導があまりよくないので、ステンレス鋼でアルミを挟み込んだ三層構造クラッド鋼などにして対策される。IH調理器用には、磁性のあるフェライト系や普通鋼と複合させた、ステンレスクラッド鋼が使われる。業務用の厨房は、流し台、テーブル、ケース類に至るまで、清潔さを保つために清浄しやすいステンレス鋼が全面的に使われている。魔法瓶の水筒もステンレス鋼を使った製品で、ステンレス鋼管のプレス成形で造られる。魔法瓶水筒の場合は、ステンレス鋼の熱伝導の悪さを逆に有効活用している事例といえる。 食品産業では、食品が接触する部分の多くがステンレス化されている。清潔を第一とする食品機器では、昔からステンレス鋼が多量に使われてきた。食品産業のステンレス鋼の特徴は、食品が接触する部分には研磨仕上げを標準としている点である。これによって、もし食品接触面にかき傷や微小な穴があったときに、そこに食品が入り込み、清掃時にも残ってしまうような事態が起こらないようにしている。鋼種は主に304系が使われており、より耐食性を要する箇所には316系が使われている。
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