研磨仕上げ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 16:24 UTC 版)
ステンレス鋼の表面仕上げによく使われているのが、研磨を施した仕上げである。研磨仕上げ材は主に外観を装飾する用途に使われ、普段目にするステンレス鋼製の装飾金物や台所用品の多くは研磨仕上げがされている。 研磨仕上げの場合、市場に流通している研磨済み素材を使用する場合の他に、プラントのタンクなどのように設備施工後に研磨する場合もある。研磨仕上げの主な手法は、研磨目を残らせるベルト研磨と鏡面に仕上げることを目的とするバフ研磨の2種類である。硫黄系の研磨油は、研磨後にステンレス鋼表面に硫化物を生成し、耐食性を劣化させることがあるので注意を要する。研磨仕上げも、規格で仕上げ内容を示す記号が割り当てられている。JISまたはASTMで制定されている代表的な研磨仕上げについて以下に示す。 No.4 光沢があり、細かな研磨目が残された表面の仕上げ。JISでは#150から#180の砥粒の研磨ベルトで研磨して仕上げる。ASTMでは#120から#150を用いる。 HL 連続した線状の細かい研磨目が付いた表面の仕上げ。#150から#240程度の研磨ベルトで仕上げられる。建材用途で一般的な仕上げで、建物の内装・外装に使われる。 No.6 光沢の低い、つや消し梨地(サテン)の仕上げ。仕上げ方法は、No.4仕上げ材をタンピコブラシで研磨するのが典型的な方法。 No.8 光沢が高く、研磨目は除去され、高い反射率を持つ鏡面状の仕上げ。いわゆる鏡面仕上げに相当する。細かい研磨剤で研磨した後、鏡面用バフで最終研磨して仕上げる。装飾用や反射鏡に使われる。 他の研磨方法としては、小物の研磨に用いるバレル研磨や電解液に浸して表面を電解させる電解研磨がある。ステンレス鋼の電解研磨には、リン酸、硫酸、硝酸が電解液としてよく使われる。電解研磨と砥粒による機械的な研磨を複合させた手法もあり、より高平滑な表面が得られる。
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