項目「美」とは? わかりやすく解説

項目「美」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 22:55 UTC 版)

ドゥニ・ディドロ」の記事における「項目「美」」の解説

ディドロ1752年刊行され百科全書第二巻のなかに収録された項目「美」を執筆した。そこでの彼のテーマは美の根拠についてである。 彼はこの根拠求めるために、美を定義するのに必要な性質は何かを探る。彼はまず、秩序、関係、釣り合い配列対称適合不適合どのような美の中にも見つけることができるとする。それはそれらの概念存在、数、横、高さ、およびその他異議さしはさむ余地のない諸観念と同じ起源から生じるからである。 しかし、より一般的に美しいと名づけるすべての存在に共通な性質のうち、美という言葉記号にしうるものは何だろうかと、疑問投げかける。それは、美がそれによって始まり増大し無限に変化し減少し消滅する性質だという。そして、これらの結果引き起こしうるのは、関係の観念をおいてほかにないという。ここで彼は美の流動性多様性示唆している。例えば、美しい人体重が5キロ増えその人の顔に脂肪溜まり若干ふくれっ面になると、その人の顔は怒り想起させ、既に美しい人ではなくなるかもしれない、という流動的な側面美にはある。 また、彼は美の多様性についての証拠として、雷雨暴風雨天地創造以前混沌の絵を挙げてある種存在秩序対称明白な外観とすら無縁だ述べている。したがって、これらの存在のすべてが一致するただひとつの共通な性質は、関係の観念であるという。美の多様性においては上で示した美しい人」がたとえふくれっ面になったとしても、それは怒りではなく健康を想起させ、その人はさらに美しくなるかもしれないということがいえる。 美しいという語をつくりださせたのは、関係の知覚であり、その関係と人物の精神との多様性に応じて、きれい、美しい、魅惑的な偉大な崇高な神聖な、その他、肉体精神とにかかわる無数の語がつくられた。これらが美のニュアンスである。 さらに、関係の観念であるところの美が往々にして感情問題にされてしまうことに触れて、こう述べている。「確定しにくいけれども認めやすく、そしてその知覚快感がともなうために、美は理性よりもむしろ感情問題だと憶測されたのである。ごく小さな子供の頃から、ある原理がわれわれに知られていて、その原理習慣的に外部事物に対して気軽にすみやかに適用されるような場合には、いつも必ず、われわれは感情によって判断下していると思うだろう」。 美に対す意見の相違ことごとくは、自然の所産芸術作品における、知覚された関係の多様性結果として生じる。それならば一体、自然のうちで、その美しさに関して人々が完全に意見一致をみるのはなんであろうか。この問いに対して彼はこう答えている。「同一対象のなかにまったく同じ関係を知覚し、それと同じ程度美しいと判断する人は、恐らくこの地上二人いないだろう。だが、いかなる種類の関係も感じたことのない人が一人でもいるとすれば、彼は完全なばか者だろう」。

※この「項目「美」」の解説は、「ドゥニ・ディドロ」の解説の一部です。
「項目「美」」を含む「ドゥニ・ディドロ」の記事については、「ドゥニ・ディドロ」の概要を参照ください。

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