電気工学分野への応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 22:55 UTC 版)
室温において、銀は既知の金属の中で、最も電気抵抗率が低い。また、展延性も非常に高く、金に次ぐ数値を示す。そのため、電気伝導率の良い電線として利用されている。勿論、銀そのものが希少性が高く、値段が高額なため、電気抵抗率の比較的近い銅線、又は軽量なアルミニウム線を太径又は複導体・多導体にして交流送電で使用している場合が殆どで、銀線は特殊な場合にのみ利用される。 例としては、マニア向けの、オーディオケーブル、スピーカーケーブル等がよく知られる(1メートル当たり数千円、プラグを付けるなど加工済みなら数万円する商品)。 また高周波を扱う同軸ケーブルや導波管にも用いられることがあるほか、継電器(リレー)の接点にも用いられ、これらは丈夫さと経済性、表皮効果を考慮し、銀メッキが施された銅が使用される。 ただし銀は、エレクトロケミカルマイグレーション(イオンマイグレーション)による、短絡(ショート)がもっとも起こりやすい材料である。また、硫化や塩化した場合に、絶縁体の硫化銀や塩化銀が生成される。 クォーツ腕時計の普及で酸化銀を用いる酸化銀電池(銀電池)も、一般に広く使用されるようになってきている。長期間保存でき、電気容量が大きいうえに放電の末期まで電圧が降下せず安定しているため、腕時計や体温計といったなど安定性を求める精密機械に多く使用される。腕時計やカメラの露出計など小型精密機器向けの電池として用いられたこともありボタン型電池としての用途を一般に目にすることが多いが、長期間安定して保存できることから高信頼性・高エネルギー密度の電池としても有用で魚雷の推進用電池や火器信管、人工衛星や深海探査艇向けの電源などの用途もある。無論、貴金属である銀を用いるため、他の電池に比べ割高である。 また、太陽電池にも銀は使用されており、近年のソーラーパネル設置による太陽光発電の伸びに伴って、銀使用量の大きな割合を占めるようになっている。2011年には、太陽光発電用の銀需要は、世界の銀の供給の11パーセントを占めていた。
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