開戦反対国や国連のイラクでの利害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 21:44 UTC 版)
「イラク戦争」の記事における「開戦反対国や国連のイラクでの利害」の解説
フランスとロシアと中国は石油や開発プロジェクトを巡ってイラクと良好な関係にあり、このためこの国連安保理常任理事国の3カ国が武力行使に反対する姿勢を崩さなかった背景にはその利益を守ろうとする動機があったとも言われている。また、フランスとロシアと中国は武器輸出もおこなっており、イラク軍の保有する兵器の大半はロシア、フランス、中国製で国際社会から武器禁輸を受ける湾岸戦争前はこの3カ国はイラクの武器輸入の90%も占めていた。また、ペルシャ湾への空母「シャルル・ド・ゴール」派遣を準備していたにも関わらず中止したフランスはイラクに多額の借款を持っており、戦争による体制の崩壊で当該借款が回収不能になることが危惧された。中国はフセイン政権時代の1997年にアルアーダブ油田の権益を得ており、イラクが戦後初めて外国企業との油田開発契約を結んだ相手も中国のCNPCでこの権益を保った。 また、国連においてもイラク関連人道支援事業石油食料交換プログラムに関わる汚職が後に問題となった。これは経済制裁を受けていたイラクが石油と食料や衣料品を交換するという国連の事業であり、この計画に関与したブトロス・ブトロス=ガーリ元事務総長のファミリー企業やベノン・セバン(英語版)事務次長(当時)、コフィー・アナン元事務総長の長男コジョが密輸やイラク政府、関連企業からの賄賂によって利益を得ていたという事件である。イラクを軍事支援していたロシア、フランス、中国がこの計画で最も利益を得ていた。フセイン政権がこの計画で不正に得た収益は19億ドルにのぼるとされており、そのための賄賂と見られている。なお、国連に懐疑的なブッシュ政権や戦争賛成国のイギリスやオーストラリアにはイラク戦争前に本来構内は不可侵とされている国連本部を盗聴していたとする国連盗聴疑惑(英語版)も起き、実際に盗聴器が設置されていたことがわかっている。
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