金鉱床
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 14:56 UTC 版)
酸化をほとんど受けない金は、自然金(しぜんきん、native gold、金の単体)として得られることがほとんどである。また金は、火成岩中にも極微量に含まれる。ただし、採算が取れるほど固まって産出されるのは稀である。一方、低品質の金鉱床では、含金珪酸鉱と呼ばれて出荷される場合もある。これは銅の精製過程に融剤として珪酸分が用いられ、この副産物(不純物)として金が得られるというものである。 金鉱山として金を産出する場合は、金の鉱脈、あるいは鉱染を受けた岩体に沿って掘っていく。その他に、金を含む鉱石が風化した、砂状のものをパンニング皿(側面に一定間隔で凹凸の刻みが入れてある皿)などの道具によってより分ける砂金掘りの方法もある。 通常、石英、炭酸塩、まれに硫化物の鉱脈(英:vein)の中に自然金として存在する。硫化物では黄鉄鉱、黄銅鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、硫砒鉄鉱、輝安鉱、磁硫鉄鉱などの鉱床に含まれていることが多い。非常に稀であるがペッツ鉱、カラベラス鉱、シルバニア鉱、ムスマン鉱、ナギヤグ鉱、クレンネル鉱などの鉱脈に含まれていることもある。また、金は鉱化流体として存在していることが多く、間隙の多い岩体を金を含む熱水が通過した場合は鉱染状に金が産出する。この場合、鉱石単位量当たりの金含有量は少ないものの、総量が多くなることがある。 熱水鉱床は変成岩と火成岩のなかに生成する。このような海中で見つかる火山性(成)塊状硫化物鉱床(VMS鉱床、Volcanogenic Massive Sulfide. Deposits)、堆積岩内亜鉛・鉛鉱床(英語版)では、ほとんどが(鉛、亜鉛、銅)であるが、貴金属も多く含む。 そのほかに、カーリン型金鉱床(英語版)、酸化鉄型銅金鉱床(IOCG、Iron Oxide-hosted Copper-Gold Deposits)や斑岩銅鉱床。 鉱床は風化や浸食されていることもあり、その場合、金は砂金として小河などに流されるが比重が大きいために沈殿しやすく、重い鉱物の漂砂鉱床や砂鉱床(英語版)に集まっている。もう一つ重要な鉱床は堆積頁岩または石灰岩の鉱脈で、これはまばらに単体の金が白金などの金属とともに散在する形で存在する。 金は地球全体の地殻内に広く分布して存在しており、存在比は0.003 g/1000 kg程度 (0.003 ppm) である。また、海水中にも金は含まれており、その割合は1000 kgあたり0.1 - 2 µg (1×10−4 - 2×10−3 ppb) 程度である。
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