配当利回りとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 配当利回りの意味・解説 

はいとう‐りまわり〔ハイタウリまはり〕【配当利回り】

読み方:はいとうりまわり

出資額に対す配当金割合。特に、株価対す配当金割合一株当たりの年間配当金株価割ったもの。→配当率


配当利回り(はいとうりまわり)(dividend yield)

株価対す配当金額の割合のこと

現在の株価水準に対して、1あたりの年間配当金額がどの程度割合なのかを表す。配当利益計るものさしとして、投資家にとって重要な役割果たしている。

例えば、1000円株価に対して年間10円配当を出す銘柄場合、配当利回りは1%ということになる。

ベンチャーなど成長企業への投資株価値上がり利益キャピタル・ゲイン)を求めるのに対し比較規模大きな安定企業への投資は、配当利益インカム・ゲイン)に期待することが多い。そのため、配当利回りの大きさは、投資判断のひとつの目安となる。

東京証券取引所東証第1部上場している銘柄の配当利回りを平均すると、2002年の夏以降10年物の国債利回り上回っている。このような逆転現象起きたのは、景気低迷によって株価小さくなったにもかかわらず多く企業配当金額をそのまま維持しているためだ。

(2003.02.14更新


配当性向・配当利回り

読み方はいとうせいこうはいとうりまわり

配当性向とは
1株あたり配当金÷1株あたり当期純利益」の比率
利益1円あたり、いくらの配当金支払われているか、知ることができる。

配当利回りは
1株あたり配当金÷株価求められ
あたりいくらの配当金支払っているか見ることができる。


配当利回り

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/17 01:29 UTC 版)

配当利回り(はいとうりまわり、: Dividend yield)は、ファンダメンタル分析の指標の一つで、株価に対して年間の配当をどれだけ受け取れるかをパーセントで示す。預金利子新発10年物国債の利回りと比較し、株式投資が相対的にどれだけ有利かの判断に使われる[1]

計算方法

下記の通り、1株あたりの年間の配当金額[注釈 1]を株価で除して求められる。例えば、株価が1000円、1株あたり35円の配当が支払われる場合には配当利回りは3.5%となる。配当金は、日本の税制において原則として課税対象となる[注釈 2]。分母となる株価は絶えず変動するため、配当利回りも同様に変動する。1株あたりの配当が変動しない場合、株価が上昇すると配当利回りは低下し、下落すると上昇する[3]。前述の例で、1株あたり35円の配当がそのままと仮定すると、株価が1400円に上昇すれば配当利回りは2.5%、875円に下落すると4%となる。日本では株主優待制度を実施している企業もあり、「優待利回り」も個人投資家が株主還元に積極的な銘柄を見出す指標として使われる[4]

配当利回り = 1株あたりの配当金 ÷ 直近の株価 × 100
優待利回り = 金額換算した1株あたりの株主優待 ÷ 直近の株価 × 100

市場全体の配当利回りの計算方法には、「単純平均利回り」と「加重平均利回り」がある。単純平均利回りは1株あたりの配当金額を単純平均株価[注釈 3]で除して求められる[8]。加重平均利回りは、単純平均利回りに上場株式数によるウエイトを付けたもので、主要国の多くは加重平均型で利回りを算出しているため、国際的な比較では加重平均利回りを用いることが一般的である[9]

単純平均利回り = 対象銘柄の1株当たり平均配当金 ÷ 単純平均株価 × 100
加重平均利回り = 全銘柄の現金配当金総額 ÷ 全銘柄の時価総額 × 100

配当利回りに似た用語に配当性向があるが、企業の利益のうち株主への配当に充てる割合を示すものであり、別の指標である。

傾向

2023年9月時点の東証プライム市場の有配会社平均利回りは2.30%、スタンダード市場2.35%、新興企業を中心としたグロース市場はやや低く1.27%[10]。いずれも銀行預金の金利に比べ高水準である[注釈 4]。米国株の2023年10月16日時点の配当利回りは、ダウ平均銘柄2.91%、S&P 5002.27%、新興企業やハイテク株の比率の高いNASDAQでは1.65%であった[12]

成長性の高い企業では投資家からは配当よりも業績の成長による株価上昇が期待され、利益を成長投資に充てるため配当利回りは低くなる傾向がある。成熟産業とよばれる業種では逆に、配当利回りが高めになることが多い[13]。高配当株の明確な基準はないが、一般に配当利回りが4~5%以上であれば高配当と評価される[14]。前の会計年度より配当金額を増加させることを「増配」といい[注釈 5]、増配が発表された企業は好調な業績への期待感から株が買われ、株価は上昇傾向となる[15]。米国株では1954年以来[注釈 6]増配し続けているカリフォルニア州の水道・電力事業会社アメリカン・ステイツ・ウォーター英語版を筆頭に、プロクター・アンド・ギャンブル3Mが65年以上連続増配している[16]。日本の企業では、2023年10月時点で33年連続増配の花王が最も長く、25年のSPK[注釈 7]、24年の三菱HCキャピタルがこれに次ぐ[18]

高配当の株式は短期の株価の値動きに注視する必要性が低く、多くのインカムゲインが得られることから長期投資に適している。反面、成熟企業が多く大幅な株価上昇によるキャピタル・ゲインが得にくいこと、配当課税[注釈 2]、減配リスクや業績低迷下で無理な配当を行うことにより財務が悪化することに起因する株価下落のリスクも存在する。また、株価低迷により見かけ上の利回りが上昇しているにすぎないケースもある[19]

脚注

注釈

  1. ^ 中間配当や、四半期配当を実施している企業もあるが、年間の合計額をもとに算出する。投資判断には、すでに支払い済みの年度の実績ではなく今後の配当予想を用いる[1]
  2. ^ a b 2023年10月現在の税制では、上場株式の場合、収入金額から株式等を取得するための借入金の利子を差し引いた額が配当所得となり、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%が源泉徴収される[2]少額投資非課税制度(NISA)の非課税枠が使える場合がある。
  3. ^ 対象銘柄の株価の合計を銘柄数で割った値。現在の平均的な株価水準を測るうえで分かりやすい指標ではあるが、品薄株や値嵩株に左右されやすく[5]増資に伴う権利落ち株式分割が正しく反映されず連続性に欠けるため[6]、過去からの連続性を必要とする指標には日経平均株価など修正平均株価が用いられる[7]
  4. ^ 2023年10月16日時点で、三大メガバンク三菱UFJ銀行三井住友銀行みずほ銀行の1000万円以上の3年物の大口定期預金、300万円以上のスーパー定期がいずれも0.0020%。最も高利率のオリックス銀行では、同条件で0.2200%[11]
  5. ^ 前の期より配当を減少させることは「減配」。
  6. ^ 2023年時点で69年間継続中。
  7. ^ 大阪市福島区の自動車部品商社。銘柄コード7466[17]

出典

  1. ^ a b (石原 2015, p. 199)
  2. ^ No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)”. 国税庁 (2023年4月1日). 2023年10月16日閲覧。
  3. ^ 用語集 配当利回り”. SMBC日興証券. 2023年10月16日閲覧。
  4. ^ 優待利回り”. 野村證券. 2023年10月16日閲覧。
  5. ^ 単純平均株価”. 三井住友DSアセットマネジメント. 2023年10月16日閲覧。
  6. ^ 証券用語集 単純平均株価”. 東海東京証券. 2023年10月16日閲覧。
  7. ^ 用語集 単純平均株価”. SMBC日興証券. 2023年10月16日閲覧。
  8. ^ 用語集 単純平均利回り”. 日本取引所グループ. 2023年10月16日閲覧。
  9. ^ 用語集 加重平均利回り”. 日本取引所グループ. 2023年10月16日閲覧。
  10. ^ その他統計資料 株価平均・株式平均利回り”. 日本取引所グループ. 2023年10月16日閲覧。
  11. ^ 預貯金金利一覧”. 日本経済新聞 (2023年10月16日). 2023年10月16日閲覧。
  12. ^ 米国株 平均配当利回り”. 投資の森(株式会社ディーボ). 2023年10月16日閲覧。
  13. ^ 証券用語集 配当利回り”. 東海東京証券. 2023年10月16日閲覧。
  14. ^ 「今なら利回り4~5%の銘柄がゴロゴロある」お金の専門家が持ち続ける高配当株おススメ3選”. プレジデントオンライン (2023年5月11日). 2023年10月16日閲覧。
  15. ^ 証券用語集 増配”. 東海東京証券. 2023年10月16日閲覧。
  16. ^ 60年以上連続で増配する銘柄も!注目の米国連続増配銘柄”. auカブコム証券 (2023年9月21日). 2023年10月16日閲覧。
  17. ^ SPK株式会社
  18. ^ 「連続増配株ランキング」ベスト20”. ダイヤモンドZAi (2023年10月2日). 2023年10月16日閲覧。
  19. ^ 高配当株をおすすめしない4つの理由とは?買ってはいけない銘柄の特徴も解説”. マネーはじめてナビ (2023年3月23日). 2023年10月17日閲覧。

参考文献


配当利回り

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 04:39 UTC 版)

配当」の記事における「配当利回り」の解説

配当利回りとは、1あたりの配当株価割ったもの。預貯金で言う金利類似しているが、支払われ方等大い異なる。

※この「配当利回り」の解説は、「配当」の解説の一部です。
「配当利回り」を含む「配当」の記事については、「配当」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「配当利回り」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「配当利回り」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

「配当利回り」に関係したコラム

  • 株式の投資判断とされる配当利回り変化率とは

    株式の投資判断とされる配当利回り変化率とは、現在の配当利回りが、過去の配当利回りと比べてどのくらい変化したかをパーセンテージで表したものです。配当利回りは、次の計算式で求めることができます。配当利回り...

  • 株式の投資基準とされる利回りとは

    株式の投資基準とは、その銘柄が割安か割高なのかを図るものさしのことです。株式の投資基準には、利回りや株価純資産倍率(PBR)、株価収益率(PER)などが挙げられます。ここでは、株式の投資基準の利回りに...

  • 株式投資のスクリーニングとは

    株式投資のスクリーニングとは、テクニカル指標や財務関連指標などを中心とした条件に合致した銘柄を抽出するシステムのことです。スクリーニングでは、テクニカル指標や財務関連指標の他に、投資金額や売買単位、業...

  • 株式の投資判断とは

    株式の投資判断とは、証券会社などの証券アナリストが銘柄を分析して投資判断を下すことです。投資判断では、「1、2、3」のような数字で表現したり、「売り、買い、中立」、「Underweight、Overw...

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「配当利回り」の関連用語


2
配当率 デジタル大辞泉
100% |||||




6
90% |||||


8
バリュエーション デジタル大辞泉
76% |||||

9
70% |||||

10
ファンダメンタルズ分析 デジタル大辞泉
70% |||||

配当利回りのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



配当利回りのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
時事用語のABC時事用語のABC
Copyright©2025 時事用語のABC All Rights Reserved.
株式会社シクミカ株式会社シクミカ
Copyright (C) 2025 株式会社シクミカ. All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの配当利回り (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの配当 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS