都市圏全域での広域合併と政令指定都市昇格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/01 17:03 UTC 版)
「熊本都市圏」の記事における「都市圏全域での広域合併と政令指定都市昇格」の解説
熊本都市圏は、2010年度末に九州新幹線が熊本駅に開通すると、博多駅 - 熊本駅が 120 km 程度(直通運転で約35分。ちなみに熊本駅 - 鹿児島中央駅間は約45分)であるため、ストロー現象が発生して福岡都市圏に業務機能や物販機能が少なからず移転等により失われてしまい、福岡都市圏の経済圏に含まれてしまう可能性が高いと考えられた。対策として熊本市は政令指定都市昇格を目指すことで都市としての魅力のアップや機能の効率化を進めようとした。これは、都市圏全域を対象とした広域合併であり、新潟市と同種の政令市である(その他の政令市の型として、南関東や京阪神における大都市圏内の衛星都市の政令市、大阪市・名古屋市・福岡市などのような支店経済都市としての政令市、広島市・北九州市のような工業都市型政令市などがあり、これらの中間型やいくつかの性質を持ったものも存在する)。 しかし、広域都市圏に含まれる周辺自治体は、夜間人口(住民税を払う人口)より昼間人口(住民税を使う人口)が少ないため、都市基盤需要(昼間人口に依存)の整備にかかる費用が少なく、更に、工場の進出などによる税収増もあって健全財政となっており、少ない夜間人口の税収で多い昼間人口のための都市基盤整備をしなくてはならず、国体開催などで出費がかさんで財政難に陥っていた熊本市との間の合併は当初難航した。すなわち、都市圏全域での広域合併は、都市圏内の税負担の均質化を目指しているため、熊本市が設定する都市圏の「熊本市及び周辺市町村」(3市9町)の内、健全財政の周辺市町は「熊本都市圏及び政令指定都市についての研究会」に参加せず、平成の大合併で問題になった、いわゆる「弱者連合」にならないかを危惧する向きもあった。 その後、熊本市は富合町を皮切りに益城町・植木町・城南町との合併協議を進めた。益城町は住民投票の結果、合併協議からは離脱したものの残りの町との合併を取り付け、2010年3月23日に人口73万の新・熊本市が成立した。これにより合併特例法の政令市移行基準である70万人を超える。2011年10月18日、2012年4月1日をもって熊本市は政令指定都市に移行することが決まった。 なお、九州新幹線開業後約半年後に熊本市の調査会社・地域流通経済研究所(熊本市)がまとめた調査では新幹線開業による購買流出といった懸念されていたストロー現象はほとんど見られないとの結論を出している。
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