都市の鍼治療の思想
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/12 16:10 UTC 版)
この戦略は、針治療が身体の全体を癒すように、局所的に手を加えることで広範囲な都市状況を再構成する。つまり、都市を有機的な生物と考え、修復を要する生態系や、その問題の原因である的確な場所を捉えるということである。敷地は社会的、経済的、そして生態的な統計分析を通して選択され、地域と設計者との対話を経て発展を遂げる。持続可能なプロジェクトはその後、的確な部分を癒すことによって、全体の活性化を図る針として機能する。 フィンランドの建築家、社会理論家であるマルコ・カサグランデは、大規模な都市開発の教育主義とは対照に、地方都市や地域社会を中心に、低コストかつ低資源で居住者に休息を提供することを唱えている。制約された予算と限られた資源を使うことが望まれるこの時代背景で、より局所的および社会的なアプローチを支持している。彼は、異なる分野が重なり合う複雑なエネルギー流動体としての都市は、市民の行動だけでなく、都市の発展を決定すると示唆している。また彼は、環境保護と都市デザインを混合することによって、都市における緻密なエネルギー流動の方法論を展開している。それは、いわゆる第三世代都市(脱工業化都市)を目指した、生態学的に持続可能な都市開発を目的としている。この理論は台湾の淡江大学で展開されており、ならびに独立学際的な研究センターRuin academyでも展開されている。環境保護と都市計画に視点をおくことで、マルコはエネルギーの厳守的操作が持続可能な都市開発の実現に貢献するデザインツールとして「都市の鍼治療」を定義している。例には、台北市のコミュニティガーデンや都市農園がある。 マルコは都市の鍼治療について以下のように話している。 都市の鍼治療は、都市の感覚的知性の集合による建築操作の交差地点である。都市は、多次元的で緻密なエネルギーの有機体、生活環境として見なされる。都市の鍼治療は、自然と触れ合うことを目指しており、同時にそれは、都市に隠れた、視覚的な都市のふもとにある集合体Xのエネルギーの流れ、このXへの道筋を理解するための繊細性である。建築はと都市Xに対しての鍼として機能する役割を持っている。雑草は構築的な都市を破壊してでも、アスファルトの裂け目から根を張っている。都市の鍼治療は雑草であり、鍼をさす場所はその裂け目である。その効果の可能性として自然の一部として人間を定義し、自然とのつながりを相互補完的にする。
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