都市の高密度化と気象の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 21:11 UTC 版)
「ヒートアイランド」の記事における「都市の高密度化と気象の影響」の解説
建物の高密度化や高層化が進むと、地上から空を見上げた時の空の割合(天空率)が低下し、夜間の放射冷却が弱まって気温の低下が緩やかになる。例えば環境省の2013年の推定によると、各都市の建物の高さは東京23区や大阪市で50年間で約3倍、名古屋市や福岡市で同2倍ほどになっている。 ただし、人工物や排熱の分布がそのまま気温に反映されるわけではなく、ヒートアイランドの分布にはより大きなスケールの気象が影響を及ぼす。例えば、海陸風の働きによる暖められた大気の運搬、地形や河川の配置によりできる「風の道」に沿う冷たい大気の運搬などの要因がある。 東京付近とその北方に広がる関東平野では、元来他の地域よりも広範囲に海風が及ぶとされるが、人工被覆や排熱の多い東京都心を通過した風が東京の北方に熱を運搬することが指摘され、実際に高温が観測される傾向がある。名古屋とその北方に広がる濃尾平野では、他の地域よりも海風が弱い傾向があり、風下にあり名古屋から比較的近距離に位置する多治見市や岐阜市などが高温となる傾向がある。 中層建築物や高層建築物が地上付近の風通しを阻害して、熱の拡散や建物内の換気を弱める場合があると考えられていて、東京湾岸の高層ビル群は俗に「東京ウォール」などと呼ばれる場合がある。例えば、国土技術政策総合研究所が地球シミュレータを用いて行ったシミュレーションでは、汐留の高層ビル群がある場合とない場合では風下の新橋付近の風通しが異なるという結果が出ている。
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