運転終了までの経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 23:00 UTC 版)
近鉄以外の私鉄や国鉄で運行されていた行商専用列車も行商人の減少などで廃止が相次ぎ、2013年3月29日に京成電鉄が運行する「なっぱ電車」が廃止されて以降は、日本国内で運転される行商専用列車は近鉄の鮮魚列車が唯一となっていた。 鮮魚列車は、平日・土曜において朝に近鉄山田線・近鉄大阪線の宇治山田駅 → 大阪上本町駅間、夕方に大阪上本町駅 → 松阪駅間で1本ずつ運行していた。2015年時点のダイヤでは、上りは宇治山田駅6時9分発 → 大阪上本町駅8時57分着、下りは大阪上本町駅17時15分発 → 松阪駅19時33分着、2020年3月13日の運行終了直前のダイヤでは上りが宇治山田駅6時1分発 → 大阪上本町駅8時58分着であった。 全盛期は200人を超える利用客がおり、車内は荷物であふれ返り、網棚に寝転がらなければならない乗客が出るほどであった。しかし、自動車の普及や行商人の高齢化(後継者不足)などにより、利用客は2008年の時点で50名ほどに減少、2014年に20名、廃止直前には数名にまで減っていた。「伊勢志摩魚行商組合連合会」の会員も2009年現在115名で、2000年の239名に比べて半減している。2014年時点では、近鉄の広報担当者は「社会貢献として走らせ続けたい」とコメントしていた。 前述の通り通常時は一般客は立ち入りできないが、運休日となる日曜・祝日に鮮魚列車の車両を用いた貸切ツアー列車が時折運行されていた。2014年11月22日・23日の両日には、鮮魚列車の珍しさに注目した伊勢市・鳥羽市・志摩市の合同企画として、大阪上本町駅に停車した列車内で伊勢志摩の特産品を販売する「伊勢・鳥羽・志摩うまいもん列車」という物産展が開かれた(ただし、このイベントで用いられた列車は4両編成の通常の通勤形車両で、鮮魚列車ではない)。 その後も自動車輸送への転換などによる利用客の減少は続き、加えて車両の老朽化も進行しつつあったため、2020年3月13日の運行を最後に鮮魚列車は廃止された。最終運行日となった3月13日には、「さよなら鮮魚列車」と書かれた特別な行先板が掲出された。鮮魚運搬の役割は、定期列車に併結される専用車の「伊勢志摩お魚図鑑(後述)」が後継となる。 鮮魚列車の廃止により、日本国内における貸切の行商専用列車の歴史は幕を閉じる事となった。専用車両の2680系は運行終了後も明星検車区に留置されていたが、2020年5月16日に廃車のため高安検車区へ回送された。 松阪駅での魚介類を入れた箱の積み込み風景。(2007年8月8日) 一部の駅の案内表示器では「鮮魚」「CHARTER」と表示された。(2008年9月19日) 大阪上本町駅での魚介類を入れた箱の荷下ろし風景。(2020年3月3日)
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