連結性
連結空間
(連結性 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/21 16:40 UTC 版)

位相幾何学や関連する数学の分野において、連結空間(れんけつくうかん、英: connected space)とは、2つ以上の互いに素な空でない開部分集合の和集合として表すことのできない位相空間のことである。空間の連結性は主要な位相的性質のひとつであり、位相空間の区別をつけることに利用できる。より強い意味での連結性として、弧状連結 (path-connected) という概念があり、これは任意の2点が道によって結べることをいう。
位相空間 X の部分集合が連結であるとは、X の相対位相によってそれ自身を位相空間と見たときに連結であることをいう。
連結でない空間の例は、平面から直線を取り除いたものがある。非連結空間(すなわち連結でない空間)の他の例には、平面からアニュラスを取り除いたものや、2つの交わりを持たない閉円板の和集合がある。ただし、これら3つの例はいずれも、2次元ユークリッド空間から誘導される相対位相を考えている。
定義
位相空間 X はその任意の点 a, b を結ぶ道をとることができるとき弧状連結(こじょうれんけつ、path-connected, pathwise connected[3])または道連結(みちれんけつ)であるという[4]。 ここで始点 a と終点 b を結ぶ道[注 1] (path) とは、f(0) = a かつ f(1) = b を満たす、単位閉区間 [0, 1] から X への連続写像 f のことである[5]。(これは「パラメータ付けられた曲線」であって、単なる点の集合ではないことに注意を要する。)
弧状連結な位相空間は常に連結である。また、アレクサンドロフの長い直線とよばれる非可算無限個の単位半開区間の直積空間の一点コンパクト化や、sin(1/x) のグラフに原点を加えたもの(位相幾何学者の正弦曲線)は、連結だが弧状連結でない位相空間の例として挙げることができる。

一方、実数直線 ℝ の部分集合では連結であることと弧状連結であることとが同値であり、そのようなものは ℝ の区間に限られる。n 次元数空間 ℝn, ℂn に対しても、連結な開部分集合が常に弧状連結となることがいえる。あるいは、有限集合に位相を入れて考えるときにも、連結性と弧状連結性は同値になる。
弧連結
さらに強く、弧状連結空間がその任意の相異なる二点を結ぶ道 f として常に弧 (arc)—つまり単位区間 [0, 1] と像 f([0, 1]) との間の同相写像[6][注 2]—を選ぶことができるとき、弧連結 (arc-connected, arcwise connected[3]) であるという。弧状連結なハウスドルフ空間は常に弧連結空間である。弧状連結だが弧連結でない空間の例を、負でない実数全体の成す集合 [0, ∞) に第二の 0 として 0′ を加えることによって作ることができる。具体的に、通常の大小関係に加えて、a が正の数ならば 0' < a であるとし、0 と 0' は比較不能であるとして半順序を与える。このとき順序位相—つまり開区間 (a, b) ≔ {x | a < x < b}, 半開区間 [0, a) ≔ {x | 0 ≤ x < a} および [0′, a) ≔ {x | 0′ ≤ x < a} を開基とする位相—を入れて得られる位相空間は、T1-空間になるがハウスドルフ空間ではない。そして、0 と 0′ は道で結ぶことができるが弧で結ぶことができないのである。
局所連結性
連結集合からなる開基を持つ位相空間は、局所連結(きょくしょれんけつ、locally connected)であるという。位相空間 X が局所連結となることと、X のどの開集合に対しても、その任意の連結成分がまた開集合となることとは同値である。連結だが局所連結でない位相空間の例として、再び位相幾何学者の正弦曲線を挙げることができる。
同様にして、弧状連結な部分集合からなる開基を持つ位相空間は局所弧状連結(きょくしょこじょうれんけつ、locally path-connected)であるという。局所弧状連結空間の開集合は、それが連結であるならば弧状連結である。このことは一般に n 次元数空間 ℝn, ℂn が局所弧状連結であることから、その開部分集合についても言える。したがってなお一般に、位相多様体は(各点の近傍が数空間の開集合に同相であるから)すべて局所弧状連結であることが従う。
性質
既述のものも含めいくつかの性質と、諸概念間の関係性を挙げる。
連結性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/11 06:55 UTC 版)
多様体に対して微分同相写像群は通常連結でない。その component group は写像類群(英語版)と呼ばれる。次元 2 において、すなわち曲面に対して、写像類群は有限表示群であり、Dehn twists によって生成される (Dehn, Lickorish, Hatcher) [要出典]。マックス・デーン (Max Dehn) と Jakob Nielsen はそれは曲面の基本群の外部自己同型群(英語版)と同一視できることを証明した。 ウィリアム・サーストン (William Thurston) は写像類群の元を分類することによって 3 つのタイプにこの解析を細分した: 周期的微分同相写像に同値なもの; 単純閉曲線を不変のままにする微分同相写像に同値なもの; pseudo-Anosov diffeomorphisms に同値なもの。トーラス S1 × S1 = R2/Z2 の場合には、写像類群は単にモジュラー群 SL(2, Z) であり分類は楕円型、放物型、双曲型行列の言葉の古典的なものに帰着する。サーストンは写像類群はタイヒミュラー空間(英語版)のコンパクト化上に自然に作用することを観察することによって彼の分類を達成した; この大きくされた空間は閉球に同相であるから、ブラウアーの不動点定理が適用可能になる。 M が向き付けられた滑らかな閉多様体であれば、スメイルによって、向きを保つ微分同相写像の群の単位元成分(英語版)は単純であることが予想された。これはまず Michel Herman によって円の積に対して証明されていた; サーストンによって完全に一般的に証明された。
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