相対位相
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/05 05:35 UTC 版)
この性質は、Y 上の部分位相の定義として用いることができるという意味で、相対位相を特徴付ける性質である。
以下、相対位相に関する性質を挙げる。以下では S は位相空間 X の部分空間とする。
- f: X → Y が連続ならば、その S への制限もやはり連続である。
- f: X → Y が連続ならば、f: X → f(X) もやはり連続である。
- S の閉集合はちょうど X の閉集合と S との交わりとして得られる。
- A が S の部分空間ならば A は同じ位相で X の部分空間にもなる。すなわち、S から誘導される A の位相は X から誘導される A の位相と一致する。
- S が X の開部分空間ならば、S の部分空間が S において開となることと、それが X において開となることとは同値である。
- S が X の閉部分空間ならば、S の部分空間が S において閉となることと、それが X において閉となることとは同値である。
- B を X の開基とすると、BS = {U ∩ S : U ∈ B} は S の開基である。
- 距離空間の部分集合上に距離函数を制限することによって誘導される位相は、その部分集合における部分位相空間としての位相に一致する。
部分空間へ遺伝する位相的性質
位相空間がある位相的性質を持つとき、その任意の部分空間がやはり同じ性質を持つならば、その位相的性質は遺伝的 (hereditary) であるという。それより弱く、その任意の閉部分空間だけがその性質を保つならば、そのような性質を弱遺伝的 (weakly hereditary) という。
- 位相的完備な位相空間の、任意の開および閉部分空間はやはり位相的完備である。
- ベール空間の任意の開部分空間はやはりベール空間である。
- コンパクト空間の任意の閉部分空間はやはりコンパクトである。
- ハウスドルフ空間であることは遺伝的である。
- 正規空間であることは弱遺伝的である。
- 全有界性は遺伝的である。
- 完全不連結性は遺伝的である。
- 第一可算および第二可算であることはともに遺伝的である。
参考文献
- Bourbaki, Nicolas, Elements of Mathematics: General Topology, Addison-Wesley (1966)
- Steen, Lynn Arthur; Seebach, J. Arthur Jr. (1995) [1978], Counterexamples in Topology (Dover reprint of 1978 ed.), Berlin, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-0-486-68735-3, MR507446
- Willard, Stephen. General Topology, Dover Publications (2004) ISBN 0-486-43479-6