通常の株式会社制度とのおもな相違点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 02:55 UTC 版)
「特例有限会社」の記事における「通常の株式会社制度とのおもな相違点」の解説
通常の株式会社への移行手続をするまでは、商号の中に特例有限会社としての「株式会社」以外の旧来一般意義「株式会社」という文字を含めてはならず、代わりに「有限会社」という文字を含めることが義務付けられている。 会社の発行する株式は譲渡制限株式でなくてはならず、公開会社になることはできない。株主の譲渡承認は必ず株主総会が行うことになる。ただし、株主間の株式の譲渡は自由である(株主間の譲渡を制限したり、譲渡承認をするものを会社以外に取締役、代表取締役等としたりするなど、株式会社のように柔軟な譲渡制限を設けることはできない。)(整備法9条)。 取締役会・監査役会・会計監査人・会計参与・委員会および執行役が法定機関として認められていない(整備法17条)。法定機関としては株主総会と取締役以外には監査役(会計監査のみに権限が限定)を設置できるのみである。その結果として、例えば法律上「取締役会設置会社」であることが要求されている業種の会社(銀行や証券会社など)の事業を営んではならない。 株式会社と異なり、各取締役が会社を代表することができるため、代表取締役の設置が任意である。取締役の互選等により、代表取締役を設置することは可能である。 少数株主権の相違株主による株主総会の招集請求権は定款で別段の定めのない限り総株主の議決権の10分の1以上が必要(通常の株式会社は原則総株主の議決権の100分の3以上) 株主提案権や総会における検査役の選任の規定の適用がない 業務の執行に関する検査役の選任請求についても総株主の議決権の10分の1以上が必要 会計帳簿の閲覧請求権についても総株主の議決権の10分の1以上が必要 役員の解任の訴えの原告適格が総株主の議決権の10分の1以上が必要 清算人の裁判所に対する解任請求権が単独株主権とされている 株主総会参考書類の送付の規定の適用がない 取締役の業務執行の決定の他の取締役への委任の制限や著しい損害を及ぼすおそれのある場合の株主への報告義務がない 取締役や監査役の任期の法令上の制限がない みなし解散の適用をうけない 監査役選任議案について取締役が提出する場合の監査役の同意権や監査役の選任議案提出請求権が存在しない 監査役の監査の及ぶ範囲は会計に関する範囲に限定され監査役設置会社にはなれない(整備法24条) 附属明細書の作成について会社法施行時(2006年(平成18年)5月1日)に全ての株主に会計帳簿閲覧請求権を認める旨の定款の定めがあれば作成が免除される 決算公告を要しない 株主総会の特別決議要件が通常の株式会社よりも厳格となっている(整備法14条3項)。通常の株式会社の場合、議決権を行使することのできる株主の議決権の過半数(定款で3分の1以上まで緩和可)の出席で、出席した総株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要なのに対し、特例有限会社は総株主の半数以上(定款で厳格化は可)かつ当該株主の議決権の4分の3以上の賛成が必要。 企業再編の手段として、株式交換や株式移転の方法を用いることができない。 特別清算手続が適用されない。 全取締役及び監査役の住所が登記事項である。 など
※この「通常の株式会社制度とのおもな相違点」の解説は、「特例有限会社」の解説の一部です。
「通常の株式会社制度とのおもな相違点」を含む「特例有限会社」の記事については、「特例有限会社」の概要を参照ください。
- 通常の株式会社制度とのおもな相違点のページへのリンク