車両チューニングにおけるT-VIS
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/12 03:52 UTC 版)
「T-VIS」の記事における「車両チューニングにおけるT-VIS」の解説
T-VISのバタフライバルブは高回転まで使用しない場合に、ブローバイ(未燃焼ガス)の吹き返しによるカーボン堆積により動きが悪くなりレスポンスが悪化したり、時に完全に固着するトラブルも発生し、チューニングカーではT-VISを取り外したり最初から全開状態で固定する改造が行われた事もあった。低回転時には閉じているバタフライバルブ側の吸気バルブ傘部は燃料噴射装置からの噴射による洗浄効果が期待できない為、カーボンが非常に堆積しやすく、吸気ポートの有効面積が減ってしまい性能低下を起こしやすい事も泣き所であった。負圧アクチュエータの開閉制御はECUで行われており、ROMチューンにより作動回転数の変更も行えるが、2000年代まではプライベートチューナーによるECUの再セッティングの手段は極めて限定されており、T-VISの機構を残したままカムシャフトの交換などを行うと、バルブ切り替えの回転数がバルブタイミングに対して不適合となり、却って性能に悪影響を与えることもチューニングカーでT-VISが忌避された理由でもあった。 本来T-VISが搭載されたトヨタ・4A-GEやトヨタ・1G-GEなどは吸気ポートの形状はT-VISが存在することを前提にポート加工されており、単純にT-VISを取り外す事はあまり望ましい行為であるとはいえない。そのため、トヨタ・AE86の4A-GEではシリンダーヘッドとインテークマニホールドの全てを、T-VISが廃止された世代であるAE92後期型に換装する改造が行われたりもしており、AE101で4A-GEが5バルブ化される直前の一時期にT-VISが廃止された事実は、4A-GEユーザーの間に「T-VISは失敗作」という悪印象を残すことにも繋がってしまった。 しかし、2000年代以降ノートパソコンなどを利用するサブコンピュータでプライベーター(英語版)でも容易にECUのセッティングが行えるようになったことにより、T-VISのユーザーによる作動タイミングの最適化が容易に行えるようになり、1980年代当時の量産エンジンにおけるアルミ鋳造技術の限界から生じている不適切な内部形状の修正など、メカチューン的な手法も含めたT-VISの再評価が行われてきている。 なお、1GエンジンではT-VISがツインターボの1G-GTEにも採用され、スーパーチャージャーの1G-GZEのみがT-VIS非採用であった。自然吸気エンジンはハイメカツインカムの1G-FEに置き換えられた。トヨタ・3S-GEは1984年からT-VISを採用し、自然吸気は1990年にACISに置き換えられる形で姿を消している。ターボエンジンの3S-GTEでは1993年の第2世代までT-VISが採用されており、同年末のST205型セリカの登場と3S-GTEエンジンの第3世代移行に伴いT-VISが廃止されているが、3Sエンジンや1GエンジンではT-VISの取り外しは4A-GEほど活発ではない。
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