超新星残骸
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アンドロメダ座S星が出現した位置は、アンドロメダ銀河の中心核から16秒で、銀河の表面輝度が高い位置にあることが超新星残骸の検出を難しくしていた。しかし、1988年にキットピーク国立天文台のメイヨール4m望遠鏡による観測で、鉄に富んだ超新星残骸が発見された。この観測では、銀河の光が明るいことを逆手にとり、鉄原子が銀河の光を吸収して暗くなったところをとらえ、超新星残骸の検出に成功した。爆発による放出物が鉄を豊富に含んでいることは、この爆発がIa型超新星であったことと辻褄が合う。 1995年以降、ハッブル宇宙望遠鏡によっても観測が行われており、撮影された超新星残骸の大きさが、Ia型超新星の典型的な膨張速度から予想される大きさとよく合っていることがわかった。また、鉄の他にカルシウム、マグネシウム、マンガンでも吸収を起こしていることもわかった。更に詳細な観測から、鉄の放出物には噴煙状の構造が見られるのに対し、カルシウムの放出物はどちらかと言えば球対称に近く、中心に近いところにコブ状構造があることがわかった。このような超新星残骸の分布は、熱核暴走の途中から衝撃波が形成される遅延爆轟波説による爆発とよく合うとされている。
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超新星残骸
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詳細は「超新星残骸」を参照 超新星残骸(ちょうしんせいざんがい、英: Supernova Remnant)とは、超新星爆発の後に残る星雲状の天体である。 超新星爆発の結果として中性子星が作られることがあるが、発見されている中性子星の周囲に超新星残骸があるものは少ない。これは超新星爆発のわずかな非対称性によって中性子星が爆発の中心から弾き飛ばされてしまうためと考えられている。 超新星爆発で放出される物質はほぼ球対称に拡がるため、地球から観測した場合には超新星残骸は円弧状の形に見えるものが多いが、かに星雲のように不規則な形状のものもある。 超新星爆発が起こると星の外層のガスは衝撃波によって吹き飛ばされる。この際に衝撃波による断熱圧縮や放射性元素の崩壊熱でガスは加熱され非常に高温になり光を放射する。超新星残骸を構成しているガスの温度は100万K以上であり、通常の散光星雲よりもはるかに高温である。そのため通常の散光星雲に見られるような水素原子の再結合に伴う輝線以外に、磁場中を高速で運動する電子によるシンクロトロン放射が観測される。このようにして爆発直後の超新星残骸は輝いている。 超新星残骸はその後も周囲の星間ガスを取り込むようにして膨張を続けていく。高速で膨張していく衝撃波面が周囲の星間ガスに衝突し断熱圧縮されることで高温の状態が維持される。このようにして超新星残骸は膨張速度が衰えて高温の状態を維持できなくなるまで数万年程度輝き続ける。
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