宇宙線の起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/22 21:38 UTC 版)
超新星残骸は、銀河内の宇宙線の主な発生源の1つであると考えられている。宇宙線と超新星の関わりは、1934年にウォルター・バーデとフリッツ・ツビッキーが初めて指摘した。1964年、ヴィタリー・ギンツブルクとセルゲイ・シロワツキーは、超新星残骸中の宇宙線の加速の効率性が約10%だとすると、銀河系内における宇宙線の消失が補償されることに気づいた。この仮説は、エンリコ・フェルミのアイデアによる「衝撃波加速」と呼ばれる特殊な機構によって支持された。 実際に、エンリコ・フェルミは1949年に、星間物質内の磁場の雲と粒子の衝突による宇宙線の加速についてモデル化した。「二次フェルミ加速」として知られるこの過程では、正面衝突によって粒子のエネルギーは一定に増加する。後者のモデルは、強力な衝撃波面で形成される。衝撃波面を繰り返し横切る粒子は、エネルギーが大幅に増加しうる。この現象は、「一次フェルミ加速」として知られている。 超新星残骸は、超高エネルギー宇宙線の生成に必要な高エネルギーの衝撃波面を形成しうる。X線によるSN 1006の超新星残骸の観測で、この天体が宇宙線の発生源となっていることに矛盾しないシンクロトロン放射を示した。しかし、約1015 eVを超えるエネルギーは、超新星残骸では十分なエネルギーを供給できず、異なる機構が必要である。 超新星残骸が宇宙線をPeVまで加速できるか否かについては、未だはっきり分かっていない。将来建設されるチェレンコフ望遠鏡アレイは、この問題に答えを出すこと助けになることが期待されている。
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