質問式の知機能障害を測定する尺度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 09:13 UTC 版)
「認知症」の記事における「質問式の知機能障害を測定する尺度」の解説
General practitioner Assessment of Cognition(GPCOG)やMini-CogおよびMemory Impairment Screen(MIS)は日本語版が作成されていないため一般的ではない。 長谷川式認知症スケール(HDS-R) 長谷川和夫によって作成された認知症診断のための簡易スケールで、現在日本で最も広く使用されている。かつては「長谷川式簡易知能評価スケール」と呼ばれていたが、2004年4月に痴呆症から認知症へ改称されたことに伴い現在の名称に変更されている。自分の年齢や現在の日付、現在位置や物の名称、簡単な引き算などの9つの設問からなり、最高得点は30点であり20点以下を認知症の疑いありとする。あくまで簡易スクリーニング検査であり、認知症との判断を下したり重症度分類の際には使用されない。参考となる平均点は非認知症は24.3±3.9点、軽度は19.1±5.0、中等度15.4±3.7、やや高度10.7±5.4、非常に高度4.4±2.6とされている。 ミニメンタルステート検査 (Mini-Mental State Examination, MMSE) 国際的には最も普及している方法で、英国・豪州では推奨されている。日本でも長谷川式認知症スケールと併用されることが多い。11の設問からなり、満点は30点。原法では20点以下を認知症としたが23点以下を認知症とするのが2010年現在は一般的である。HDS-Rと比較して記憶に関する負荷が低く、教育年数による影響が知られている。一方で長谷川式には存在しない、認知機能の低下による影響が大きい視空間と構成能力を判断する図形の模写を求める設問がある。 時計描画試験(Clock Drawing test、CDT) 視空間と構成能力を評価する簡便な検査法である。時計の文字盤を書いてもらい、指定した時刻を示す長針と短針を書き加えてもらうだけの簡便な検査である。課題としてはコンセンサスを得られた採点法が存在しないことである。 The Seven Minites Screen(7MS) 軽度のADと健常者の区別にすぐれた検査法であり、高感度、高特異度であるがベットサイドで簡便に行うことはできない。 年齢と生年を質問するスクリーニング法 2つの簡単な質問「あなたは何歳ですか」「あなたは何年生まれですか」のみを用いるスクリーニングは有用という報告がある。「2つの質問への回答がどちらも誤っているときには認知症である」とすると感度61.2%、特異度97.8%、陽性適中率44.5%、陰性適中率98.9%であった。 Alzheimer's Disease Assessment Scale(ADAS) 臨床的に診断されたADに対するコリン作動薬による認知機能の変化を評価すること目的としている。スクリーニングとして用いられることはない。ADASの認知機能下位尺度であるADAS cog.が臨床試験でよくも用いられる。アルツハイマー型認知症では年間得点変化が9-11点であり、変化は軽度と高度認知症では小さく、中等度認知症では大きい傾向が指摘されている。 Severe Impairment Battery 高度に障害された認知機能を評価する。 日本語版リバーミード行動記憶検査(RBMT) 記憶検査であるが、日本語版では認知症にも用いられるように標準化に高齢者の被験者が含まれている。日常生活のさまざまな状況を再現しているのが特徴。 日本語版Neurobehavioral Cognitive Status Examination(CONISTAT) 多面的な評価が可能である。
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