象嵌(インレー)の方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 10:36 UTC 版)
「ネブラ・ディスク」の記事における「象嵌(インレー)の方法」の解説
1) スカイ・ディスクに金の板をくっ付けるために、深いみぞを円盤の青銅に刻み付ける。 2) 金の端は、細い溝の中に横たわり、その後、パンチからの打撃で打ち下ろされ、その場所に無理やり押し込まれる。 3) 銅の細長い紐を、ネブラ埋蔵品からの剣と同じ技術によってインレーする(初期の青銅器時代の非常に珍しい技術)。 ディスクの上で表される天体は、およそ0.2-0.4mmの厚さの金製平板でできている。それらを、青銅の大空に象嵌という専門技術で固定する。それらの下に 接着剤もはんだも、青銅に付けるのに用いられない。各々の平板片の端を円盤の中身深くまで届かせ、その下に無理に押し込める。テクノロジーとして、これは、東部地中海から始まる、表面被覆(すなわち表面を金製平板でおおうこと)と、嵌め込み細工(すなわち異なる金属の対象物への金属片のセッティング)の2つの新しい装飾的な技術の組合せである。 インレー加工は、初期青銅器時代中央ヨーロッパでは、非常に稀である。いくつかの象嵌両刃剣が、スウェーデンのブレタ・クロスター(エスターゲットラント)で見つかったのはついこの前であり、他には、ナントのマーシュ(Marais de Nantes フランス)での由来不明品が、そして、ツュン・レンツェンビール(スイス)からの斧刃が古くから知られている。 東部地中海では、インレー金属加工は、より広範囲にわたり、この地域は、このエレガントな技術の起源とみるべきでしょう。しかし、スカイ・ディスクに’プレート象嵌’がなされた方法は、東部地中海からの作品とは大いに違っている。だから、ここでは、マルチカラーの金属加工の技術そのものではなく、考えだけが運ばれたようである。金の平板の部品を取り付けるために、青銅を最初再加熱し、それを冷却させることによって軟らかくし、その後、個々のグラフィックの主題のアウトラインを金属の表面下深くを刻む細い溝(グルーブ)として、円盤の表面に刻み目を付けた。使用した道具は、錫含有量の多い硬い青銅の鑿だった。それから、金の平板の部品を適切な大きさに切り、これらのグルーブに象嵌し、最後に、グルーブを切った時に盛り上がった青銅の畝を金の端の上から叩き潰した。こうしたやり方で、金の平板を適所に半永久的に固定した。 初期の青銅器時代の金属象嵌は、稀であったので、ネブラの埋蔵品の剣にもまた、象嵌が施されていることは驚くべきことである。このケースでは、純銅の細長い紐を両刃に象嵌してあった。この技術が、非常に集約的な加工であったとしても、もし(下地の)金属が、輝き、ピカピカするならば、光学的な効果は、あまり満足いくものではない。薄い赤味がかっている銅は、剣の主要な金属(青銅)の淡い金の色に対して、さほどのコントラストをつくるわけではない。しかし、色の対比を増大させるために、素材に人工的な緑青、すなわち、着色酸化層を与えることは許されるだろう。対象物を酸化させたりすると銅のインレーは、ダークブラウン色になるが、青銅は、きらめく金色のまま、ほとんど変わらない。スカイ・ディスクもまた、もともと暗い緑青が噴いていて、金製の天体とのコントラストを増していたなんてありそうである。緑青を形成させることもまた、対象物を制御不能、しみだらけの方法で酸化を防止するために必要である。
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