諸形式の盛衰
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/03 00:40 UTC 版)
乱流翼は多くのモデラーによって追試され、さまざまな形式が競技実戦に投入された。1950年ころ初めに生まれた型式は、シュミッツ門下のドイツ選手のグライダーに装備された「張り出し乱流線」である。タービュレイターは、概ね翼型基準線上の前縁より約10パーセント前方に、直径0.5ミリ程度、コードの0.4パーセントくらいの太さの糸ゴムやナイロン糸を、凧のうなりのように張ったものである。糸の後ろに発生した渦が、後ろにある翼の上面に流れ着き、境界層を乱流遷移させる。 同時代に生まれた形式のもうひとつは、前縁直後の翼上面に、0.8ミリ角、コードの0.6~0.7パーセントくらいの太さの角材か紐をタービュレイターとして貼りつけたものである。翼の前縁から流れてきた気流はこれにぶつかり、乗り越えるときに境界層を乱流化する。また、翼の表面をざらざらに荒らす方法も試みられている。 以来半世紀にわたって競技で淘汰された結果、 張り出し乱流線は少なくなった。翼の外側に余分な構造物があるので、取り扱い性の点で負担が大きいため。 前縁の直後の翼上面に棒や紐を貼り付ける方法は、現在でも広く使われている。 翼の上にタービュレイターを貼り付ける方法には、いくつかバリエーションが生まれた。何列も貼り付ける型式で、前に述べた多桁翼と同様の考え方。 直線の棒ではなく、鋸状のジグザグの突起をつける方法で、横方向に強弱が付き、乱流効果が強まる。 翼面をざらざらの粗面にする方法は、「シワ紙張り」として実用化された。ライトプレーン(竹ひご・片面翼)に使われるのが多い。 さらに、1970年代には乱流翼の概念、およびタービュレイターの自動車などへ応用がなされ始め、1970年、チーム・ロータスはフロントノーズにボルテックスジェネレーターを装備したF1カーロータス・72を発表した。 1997年に運用を開始した新幹線500系電車のパンタグラフの支柱には、風切り音防止のため、フクロウの羽根にヒントを得たボルテックスジェネレーターが装備された。
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