視覚効果・その他
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「スター・トレック (1979年の映画)」の記事における「視覚効果・その他」の解説
当時の日本円にして100億円もの巨費を投じ、本編監督にはロバート・ワイズ、特殊撮影にはダグラス・トランブルとジョン・ダイクストラらを起用して作られた。 70年代後半は『未知との遭遇』や『スター・ウォーズ』などのヒットによってSF映画の大規模予算での製作が盛んになり始めた時期であった(スペース・レースとも呼ばれた)。人気テレビドラマだったものが莫大な費用と最新技術により本格的に映画化されるとあってファンの前評判も高かった。 しかし、当初視覚効果監修に起用したロバート・エイブルとそのスタッフが、当時は未発達だったコンピュータ制御による撮影システムや3DCGの開発に時間と予算を取られ、公開日に間に合わないと判断され解雇。製作スケジュールが遅れ予算もあまりかけられないという状況で起用されたのが『未知との遭遇』のトランブルと『スター・ウォーズ』のダイクストラだった。2人はエイブルの下で進んでいたデザイン案を白紙に戻して、一からこの計画に取り組んだ。トランブルは『未知との遭遇』の機材・人材を投入し、新型のモーション・コントロール・カメラを開発、プレミア試写会の前日まで作業を続けるなど厳しいスケジュールの下で多数のSFXシーンを完成させた。そのほか、TV畑のフィル・ジョアノーが視覚効果コンサルタントとして参加し、当時既に未来的なデザインで知られていたシド・ミードがヴィジャーの外観デザインに招聘された。最終版にはエイブルが関わったシーンも、ワームホールに突入するエンタープライズ船内のシーンに残った。 映画公開後は大評判となり興業成績も良かったが、巨額の製作費と広告費が仇となって、コストパフォーマンスの悪さが際立つ結果となった。このシリーズは次作から手堅くジョージ・ルーカスが作ったSFX工房・ILMに特撮を依頼するようになる(TMP製作時はILM自体が存在しなかった)。皮肉なことに、劇場版第2作は本作が採用出来なかった3DCGが大きな見所の一つとなった。 当時の技術の限界から合成の痕跡が残っており、2001年にワイズ監督が監修した「ディレクターズ・エディション 特別完全版」では合成作業がデジタル処理でやり直され、未完成だったヴィジャーの外観もより多くの部分が映る。バルカン星の風景などCGで練り直された映像や、効果音が新たに差し替えられた場面もある。 ジェリー・ゴールドスミスが作曲した本作の主題曲は、後年のTVシリーズ「新スタートレック」でも使用された。 本作以降、クリンゴン人には額が隆起した特殊メイクアップが施されるようになった。 エンタープライズ号ユニフォームはTV版『宇宙大作戦』とは異なるデザインに刷新された。続編以降は別のデザインが採用されたので、このデザインは本作のみである。 本作の日本公開を機に、このシリーズの邦題は原題に倣ったスター・トレックないしスタートレックが採用されている。
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