視覚以外の擬態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 14:27 UTC 版)
視覚以外の感覚にうったえる擬態もある。 たとえば、ナゲナワグモというクモは、枝先に足場のような糸を張り、そこにぶら下がって前足から糸を垂らす。この糸の先には粘液の球がついており、虫が近づくとそれをぶつけて虫を捕らえる。ところが、よく調べて見ると、捕まる虫が特定の数種のガばかりで、しかもオスであることが判明した、そこから研究が進み、粘球にガの性フェロモンに類似した物質が含まれることが判明した。つまり、雄のガがメスだと思ってやってくると、そこにクモがいるわけである。したがって、これは化学物質を利用した攻撃型擬態である。またガータースネークのオスは、冬眠からさめたときメスのフェロモンを出すことがある。 すでに日光をあびて体温が上昇したほかのオスたちがこれにだまされて接触してくると、このオスは彼らから熱をうばい、自分の冷えた体をすみやかにあたためる。これは同種の動物をあざむく化学的擬態の例である。 花粉を媒介させるため、花から腐肉の匂いを発してハエやシデムシなどの昆虫を集めるラフレシア、スマトラオオコンニャク、スタペリアなどの植物が知られているが、これも化学的擬態の例と言えるだろう。スッポンタケ科のキノコも胞子をふくんだ腐敗臭を放つ粘液を出してハエなどの虫を集め、胞子を拡散させる。 視覚に訴えるものではあるが、外見によらないものもある。ホタルの仲間はオスとメスが光の信号でやり取りすることが知られているが、北アメリカのフォトリウス属には、メスがフォティヌス属のホタルの発光パターンで発光し、フォティヌス属のオスを誘引し、捕食するものがある。
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