花材取り合わせの考え方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 05:44 UTC 版)
花の色や質感、季節を考慮して組み合わせることを「花材の取り合わせ」という。流派によって細やかに定めを規定しているが、基本的には主材、配材に区分し、主材には夏ハゼなど「木もの」、配材には菊やハランなど「花もの」に加えて「葉もの」を充てる。しかし、いけばなでは季節感が重要で、夏ハゼは春から秋の三期に使うため季節を特定するのは難しい。また、菊やハランも現在では四季に出回る。そのため、この組み合わせでは春の作品なのか秋なのか、季節を感じさせない懸念が残る。ところが、夏ハゼに新芽の初々しい姿があれば春らしさが強調されるであろう。また、葉が紅葉していればおのずと秋らしく感じる。また、菊も春菊、夏菊、秋菊、寒菊というように四季感のある種類を使えば問題なく季節を思い起こさせる。このように季節を意識した視野で素材を捉えると、同じ花材でも訴える力は随分変わる。ただ、いけばなでは季節重視だけではなく、造型重視や色彩本位の構成があり、素材の組み合わせは作品の狙いやモチーフで異なる。このことから、自然調(和風趣向)と造型(現代花、洋風趣向)とに大分され、構成の仕方で取り合わせを考える。一方、流派の定める古典花(伝統花)は完成された伝承いけばなである。したがって素材の組み合わせだけでなく、いけ方、考え方には厳しく定めがあり、自由な解釈による創作は一般にはされない。 取り合わせパターン(一般には「一種」「二種」「三種」「四種」「五種」)「一種いけ」 一種の素材でいけることをいい、その植物事態の魅力を余すことなく引き出す。柾、槙、杉などは枝葉の疎密に強弱を見出し、緑の濃淡に深い味わいを求める。花のある椿、さざんかなどの花はアクセント的に用いられる。桃、梅、桜などは「花木」と呼び、花と幹の表情を引き出す。「生花」様式では一種いけが多く見られる。 「二種いけ」 一種では物足りない時に他の素材をもう一種添える。あるいは、二種を組み合わせることの相互関係で生まれる連体美を求める。一般的には主材と配材の関係で、主材に枝もの、配材に花ものを組み合わせる。 「三種いけ」 考え方は二種いけ同様。主材に枝もの、配材に花もの二種、または葉もの。 「四種いけ」 かつては四の数字は嫌われたが、現在ではその数字にこだわらず、あくまで美的要素の見地で判断される。 色彩を多く取り上げる今日のいけばなでは花や葉の種類も多く、四種〜六種使うことが一般となっている。葉もの二種を組み合わせることもある。
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