艦船乗員による陸戦隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/22 02:10 UTC 版)
海兵隊廃止後は専ら陸戦隊が海軍の陸上戦闘機能を担うこととなった。そのため、艦艇乗組員のうち必要数をあらかじめ陸戦隊要員として指定しておき、有事の際に「陸戦用意」の命令のもと武装し臨時の陸戦隊を編成した。これを陸戦隊部署と呼んだ。艦・戦隊・艦隊ごとに編成計画を定めてあり、1935年(昭和10年)頃の連合艦隊所属艦の例では駆逐艦なら各艦1個分隊(10人弱)、巡洋艦で1-2個小隊(4-8個分隊=40-80人)、戦艦で1個中隊(4個小隊=約160人)が標準的な編制であった。これらを束ねて戦隊で1個大隊、艦隊で数個大隊から成る連隊級の「連合陸戦隊」を編成した。編成する陸戦隊の規模は状況によって変更され、1943年(昭和18年)頃の第2艦隊隷下の水雷戦隊では、第1編制(528人)から第3編制(1268人)まで3パターンの連合陸戦隊が規定されていた。単艦ごとの部隊は艦名を付して「軍艦長門陸戦隊」、連合陸戦隊ならば「第一艦隊連合陸戦隊」というような呼び方をするのが通常である。 当初の海軍陸戦隊概則では、銃隊と砲隊から成るものと規定された。歩兵に相当する銃隊が基幹で、重機関銃装備の機銃隊が状況によって編成されるほか、附属隊と総称される工作隊・通信隊・医務隊・主計隊などの支援組織が随伴した。銃隊・機銃隊は専門的な陸戦訓練を受けている砲術科の人員を中核として編成され、附属隊は工作兵・通信兵などの各専門兵科の人員で構成された。 艦隊とともに速やかに派遣して警備任務を行うのに適していた。もっとも、本格的に地上戦闘訓練を受けているわけではないため、戦力として強力とは言い難かった。また、陸戦隊上陸中は艦内の配置人員が不足して艦の作戦行動に支障が生じるおそれがあり、例えば前述の第2艦隊水雷戦隊の第3編制の場合、全乗員の約25%が陸戦隊として上陸してしまった状態になる。さらには艦船乗員として高度な技術を身に付けた水兵を消耗する恐れもあった。 なお、太平洋戦争(大東亜戦争)中には、沈没艦の乗員が再編成されて陸戦隊として地上戦に投入された場合がある。その場合も、旧乗艦ごとに小隊・中隊を組織することが多かった。
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