自衛力の法的限界
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「日本国憲法第9条」の記事における「自衛力の法的限界」の解説
1957年5月、岸信介内閣総理大臣「今日核兵器と言われておるところの原水爆やその他これに類似したようなものが、これはその性格から申しましても、もっぱら攻撃的なものでありまして、こんなものを日本が持つということは、これは憲法の自衛権というものの解釈からいってもこれは許せないことであろう。しかし核兵器と一言に言われておるけれども、この原子力のいろんな発達というものは非常に著しいものがあるからして、そういう場合において、憲法の議論としては、これはそういうものが、あらゆる、たとえもっぱら防禦的だと考えられるようなものであったとしても、いわゆる核兵器と名がついたら、これは憲法違反だ。―憲法に核兵器を禁止しておるという私は明文はないと思うのです。ただ自衛権の内容というもの、自衛というもののワクでもって、われわれが持ち得る一つの実力といいますか、力というものは、限定されなければならないというのが私の憲法の議論でございます」(1957年(昭和32年)5月13日、参議院予算委員会における小林孝平議員に対する岸信介首相の答弁) 1967年3月、佐藤榮作内閣総理大臣「わが国が持ち得る自衛力、これは他国に対して侵略的脅威を与えない、侵略的脅威を与えるようなものであってはならないのであります。これは、いま自衛隊の自衛力の限度だ。かように私理解しておりますので、ただいま言われますように、だんだん強くなっております。これはまたいろいろ武器等におきましても、地域的な通常兵器による侵略と申しましても、いろいろそのほうの力が強くなっておりますから、それは、これに対応し得る抑止力、そのためには私のほうも整備していかなければならぬ。かように思っておりますが、その問題とは違って、憲法が許しておりますものは、他国に対し侵略的な脅威を与えない。こういうことで、はっきり限度がおわかりいただけるだろうと思います」(1967年(昭和42年)3月31日、参議院予算委員会における鈴木強議員に対する佐藤榮作首相の答弁) 1978年4月、真田秀夫内閣法制局長官「政府が従来から憲法第九条に関してとっている解釈は、同条が我が国が独立国として固有の自衛権を有することを否定していないことは憲法の前文をはじめ全体の趣旨に照らしてみても明らかであり、その裏付けとしての自衛のための必要最小限度の範囲内の実力を保持することは同条第二項によっても禁止されておらず、右の限度を超えるものが同項によりその保持を禁止される「戦力」に当たるというものである。(中略)核兵器であっても仮に自衛のための必要最小限度の範囲内にとどまるものがあるとすれば、憲法上その保有を許されるとしている意味は、もともと、単にその保有を禁じていないというにとどまり、その保有を義務付けているというものでないことは当然であるから、これを保有しないこととする政策的選択を行うことは憲法上何ら否定されていないのであって、現に我が国は、そうした政策的選択の下に、国是ともいうべき非核三原則を堅持し、更に原子力基本法及び核兵器不拡散条約の規定により一切の核兵器を保有し得ないこととしているところである。」(1978年(昭和53年)4月3日、参議院予算委員会における矢追秀彦議員に対する真田秀夫内閣法制局長官の答弁) 1979年3月、大平正芳内閣総理大臣「自衛のために最小必要限度を超えない実力を保持することは憲法によって禁止されておらない、したがって、自衛のための必要最小限度の範囲を超えることになるものは、通常兵器でありましてもその保有は許されないと解されるのが憲法の精神だろうと思いますが、その精神は、一方、核兵器でございましても、仮に右の限度の範囲内にとどまるものであれば、憲法上はその保有を禁ずるものでないという解釈を政府はとっておりますことは御案内のとおりであります。憲法の解釈は右のとおりでございますけれども、わが国は、政策的な選択といたしまして、いわゆる非核三原則を国是とも言うべき政策として堅持しております。さらに、原子力基本法並びに核兵器不拡散条約の規定によりまして、一切の核兵器を保有し得ないとしていることは言うまでもないところでございます」(1979年3月16日、参議院本会議における吉田正雄議員に対する大平正芳首相の答弁)
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