臨床的側面
骨折 骨折の直後、患者は骨折部位の激痛を感じその部位を使うことができない。骨片がたがいにずれている状況ならば、体表ないし骨表面の輪郭の変形を伴いやすい。その場合の変形の程度、骨片の占める位置などは、原因外力の影響ばかりでなく、骨片に付着している諸筋の牽引作用にも依存する。人体の付き方も変形に影響をあたえるであろう。場合によっては、例えば腸骨では、骨折に伴う変形が起きにくい(腸骨の内・外面ともに広範囲が筋の付着部位なので、骨片は添え木を当てられたように移動できない)。反対に、大腿骨頚の骨折は相当な変形をもたらす。強大な大腿筋による遠位骨折の上方牽引(下肢全体の短縮を招く)、これも非常に強力な外施筋群による遠位骨片の外施(足のつま先が外側に向くようになる)が起きるためである。骨折時にはかなりの量の出血が骨片間、周囲の軟部組織などに起こる。骨折の治癒過程では、骨膜からの線維芽細胞や骨芽細胞、新生血管が重要な役割を果たす。 クル病 この病気は成長しつつある骨における軟骨部分へのカルシウム沈着が阻害される。すなわち、軟骨細胞が増大し続けるために軟骨領域過剰となり、骨端軟骨板の開大もこれに伴う。骨は強度が不十分であるから、圧力に応じ弯曲する。その結果、肋骨軟骨連結部の隆起や下肢の成長の弯曲、前頭骨突出、骨盤骨変形などが生じる。 骨端軟骨板異常 骨端軟骨板は成長期の骨において、骨の長さの増大をもたらすために重要である。この場所をしめる硝子軟骨が外傷、感染、食事、運動、内分泌障害などによる悪影響を受ければ、骨変形や骨機能不全を来す。例えば大腿骨では、過度の荷重や機械力ストレスのために近位骨端軟骨板が滑脱してしまうことがある。骨端軟骨板への過大な血流供給(感染あるいは腫瘍の存在により起きるもの)が、四肢の長さを異常に増加させることもある。骨端軟骨板への血流が外傷後に不足する状態が続けば、四肢は短くなる。
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