脚掴みの禁止
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 00:11 UTC 版)
脚掴み (Leg grabbing) (相手の脚や下穿きを掴む行為)は国際ルールでは2009年10月から禁止となった。 これにより、この組手から繰り出される脚を持って掴む技(禁止を機に「タックル技」と日本では呼ぶこともある)の使用は大きく制限されることになった。あてはまる投技は手技の、双手刈、掬投、肩車、朽木倒、踵返の脚を掴む技などである。ただし、肩車は脚を掴まない技術も開発されており、こちらの技術の投げ方の方が主流となっている。 例えば、ルール改正前の1999年にバーミンガムで開催された世界柔道選手権大会で、カゼム・サリハニが瀧本誠を倒した時に見せた、イランレスリングの技の一つである、ギャヴァーレを応用した小内刈の様に、技を掛けた後に引き倒したりする場合や技を掛けている途中に脚を掴むものや、木村政彦が考案した、一本背負投のバリエーションで、技を掛ける際に釣り手で相手の膝へ外無双(すなわち、腕で脚を払うか、腕を脚にあてて支点にする)を掛けるというものも禁止となっている。 また、右手で相手の左袖を持ちながら右肘で相手の左脚を掬う技などの上衣を持った手、腕で同時に脚をとる技は反則とはならない。 このルール変更の経緯としては、これらの技を使ってヨーロッパのジュニアの試合でレスリングのように腰を引き、頭を低く構え脚を取り合うような試合展開が多発した(ヨーロッパではレスリング出身の外国人選手が多用する傾向があった)。この状況を「柔道の本質から外れる」と国際柔道連盟 (IJF) は憂いた。一方で武術研究家の甲野善紀はこのような背を曲げる姿勢は古流柔術、剣術など日本古来の武術でも主流派で、講道館や剣道の背を曲げないのを良とするのは明治期ごろに流行ったドイツの健康法などの影響ではないかと述べている。[要出典] しかし、宮本武蔵の肖像画も、真っ直ぐな姿勢の自然体である。しかも、現存する伝統的な古武道にも真っ直ぐな姿勢をとるものはある。 IJFは2009年10月から脚をとる組み手を制限し、連絡技・連続技・返し技に絡めずに、いきなりこれらの技を使うことを反則とした。寝姿勢の場合はこのような脚掴みの制限はない。一度目は指導。二度目は反則負けとした。2010年1月からこの反則は一度目で反則負けとなることに。また、のちに立ち姿勢の場合はいきなりでなくても反則となった。 2015年までに帯より下の帯に入った上衣の裾掴みも脚掴みに含まれ反則負けに。2017年、一度目は指導、二度目は反則負けに戻る。2018年、指導に変更される。また、裾と一緒に帯も掴んでいる場合は脚掴みとはならない。2019年までに国際規定において、帯と一緒に裾を掴むことは脚掴みにならず許されることに。 なお、これらの脚掴みの禁止扱いは国際柔道連盟柔道試合審判規定の試合においてであり、講道館柔道試合審判規定による試合・乱取りにおいては2009年以降から2022年現在も、禁止技にはなっておらず2008年以前と同様に使用可能。
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