縄張り、営巣と抱卵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 15:36 UTC 版)
「鳥類の巣(英語版)」も参照 多くの鳥類が、繁殖期になると、ほかの同種の鳥からその縄張りを活発に防御する。縄張りの維持は、雛のための食料源の保持を意味するからである。海鳥やアマツバメ類のように、採食の縄張りを守ることのできない種は、多くの場合、かわりに集団繁殖地(コロニー、colony)で繁殖する。これは捕食者からの防御手段であると考えられている。集団繁殖を行う鳥は小さな営巣場所を守り、営巣場所をめぐってほかの同種ないし異種との競争が激しくなることがある。 すべての鳥類は、体外卵として、主に炭酸カルシウムで形成された硬い卵殻を持つ有羊膜卵を産む。穴や巣穴に営巣する種は、白色ないし淡色の卵を産む傾向があり、一方、開放型の巣を作るものは、迷彩色の卵を産む。ただし、この傾向には多くの例外が存在する。地上に営巣するヨタカ類は淡色の卵を産み、カモフラージュは、かわりにかれらの羽衣により行われる。托卵の仮親にされる種は、托卵された卵を見つけだす可能性を向上させるために、さまざまな色の卵を産む。それによって托卵する側の雌は、その卵を仮親の卵に合わせることになる。 鳥類は通常、巣(英語版)のなかで産卵する。ほとんどの種は、椀形、ドーム形、皿形、窪み、塚(マウンド)、あるいは穴といったような、ある程度精巧な巣を作る。しかしながら、なかにはきわめて原始的なものもある。たとえばアホウドリ類の巣は、地面のかき跡以上のものではない。ほとんどの鳥は、捕食されることを避けるため、その巣を覆いのある、隠れた場所に作る。しかし、大型鳥類やコロニーを形成する鳥など、より防御力の高い鳥類は、さらに開放的な巣を作ることがある。営巣においてある種の鳥は、雛の生存を高めるために、寄生虫を減らす毒素を持つ植物による植物性素材を探し、また、羽毛は巣の断熱材としてよく用いられる。鳥類のなかには巣を持たない種もあり、崖に営巣するウミガラスは、その卵をむきだしの岩の上に生む。また、コウテイペンギンの雄は、卵をその足と体の間に保持する。巣の欠如は、地上に営巣する種で、孵化する雛が早成性 (Precocial) である場合において、特に多く見られる。 抱卵は、雛の孵化のために温度を最適化するものであり、通常は最後の卵が産み落とされたあとに始まる。一夫一婦の種における抱卵の務めは、雌雄で共有されることが多いのに対し、一夫多妻の種では、片方の親(雌)が抱卵の全責務を負う。親鳥の体熱は、卵を抱いている鳥の腹ないし胸の皮膚が露出した部分である抱卵斑(英語版)を通して卵に伝わる。抱卵はエネルギー的要求の高い行為であり、たとえば成鳥のアホウドリは、抱卵に1日あたり体重の約83グラム (2.9 oz)を失っていく。ツカツクリ類の卵を孵すための熱は、太陽、植物の腐食もしくは火山性の熱源による。抱卵期間は、キツツキ類、カッコウ類、スズメ目の鳥のおよそ10日から、アホウドリ類やキーウィ類の80-90日におよぶ。
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