絹本著色更衣美人図〈喜多川歌麿筆/〉
主名称: | 絹本著色更衣美人図〈喜多川歌麿筆/〉 |
指定番号: | 1966 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1999.06.07(平成11.06.07) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 絵画 |
ト書: | |
員数: | 1幅 |
時代区分: | 江戸 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 喜多川歌麿(一八〇六年没)は浮世絵画家を代表する作家の一人であり、ことに美人画の第一人者である。寛政年間のはじめころに制作された美人大首絵は浮世絵の頂点をなすといわれ、肉筆美人画にも傑作が多い。 本図は歌麿の肉筆画中でも著名なもので、片手で襟を引き上げながら扇で涼をとる女性の姿を描く。 大きな丸髷に結った髪にさした櫛、笄、簪はいずれも明るい茶色である。左の鬢の背後からは白い簪がもう一つのぞく。やや開いた唇の間に見える歯はお歯黒であるが、眉は落としていない。黒地に井の字絣の地味な帷子を着ており、襦袢の紅白の釘抜きつなぎ文様が帷子の下にも透けている。胸元に赤い紐が交差しているのは袂落としの紐であろう。手にした扇は白い無地、足許の黒色の紗綾形地に青色の雲文の帯も落ち着いた色調であり、こうした衣装から推して富裕な町家の婦人と思われる。 襦袢が透ける薄い帷子と扇とからは暑い夏の季節の情景とわかる。暑い戸外から戻るや紙ばさみを置き、重苦しい帯を解いて、扇を用いて袖に風を送っているところであろう。前方に首を傾げ、ため息をつくような表情、襟をつまみ上げる手の運びが上品である。人前では見せないであろう安堵感漂う仕草には、女性の心理がよく表れている。このように微妙に演出され、しかも実感性に富んだ心理表現は、最盛期の大首絵で確立された、歌麿美人画の最も顕著な特質の一つである。 本図の制作時期は、歌麿最晩年の「夏衣裳当世美人」という大判シリーズ(一八〇四-六年)中に本図と図様のよく似た浮世絵版画があること、江戸では文化年間(一八〇四-一八年)ころに流行する笹色紅という暗緑赤色の口紅をつけていること等から、文化初年ころ、すなわち歌麿最晩年期の作と考えられている。肉筆美人画という江戸時代後期の一ジャンルを越えた広い共感性を有した作品といえよう。 画面左隅に「歌麿筆」の落款と朱文円形「歌麿」印が捺されている。 |
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