紙本著色地獄草子断簡とは? わかりやすく解説

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紙本著色地獄草子断簡(火象地獄)

主名称: 紙本著色地獄草子断簡(火象地獄
指定番号 2023
枝番 00
指定年月日
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 1幅
時代区分 奈良
年代
検索年代
解説文:  詞一段、絵一段からなる詞書は、火象地獄生前僧侶ありながら淫欲行い寺院仏像を傷つけたものが、口や目から火を噴く象に責めさいなまれる地獄であることを述べ、これに続く絵一紙に、火象がいずれも裸の沙門しゃもん】を苦しめる様が描かれる
 もと益田孝【たかし】(鈍翁【どんおう】)の所蔵になるいわゆる益田家甲本地獄草紙断簡である。益田家甲本は七段からなる絵巻であったが、戦後各段ごとに分離され各所所蔵となった。七段いずれも法に背いた沙門墜ちる地獄描いているため、「沙門地獄草紙」とも称されてきた。内容は『仏名経ぶつみょうきょう】』に編入された「宝達【ほうだつ】菩薩問答報応沙門経」の説く沙門地獄一致する点の多いことが知られる
 「地獄草紙」としては、すでに国宝指定されている東京国立博物館本(旧安住院本)、奈良国立博物館本(旧原家本)の二本著名である。本図を含む旧益田家甲本諸図も、料紙寸法詞書書風とともに基本的画風においても共通性が強いといえよう。さらにこれらの「地獄草紙」は、国宝および重要文化財指定されている「餓鬼【がき】草紙」「病【やまいの】草紙」「辟邪へきじゃ】絵」の諸本とともに互いに筆致差違はあるものの通じるものも多く、その関連性注目される詞書書風においても、総じて平安時代末から鎌倉初期にかけての一一八〇年代成立推定する見解出されており、これら諸本は、記録あらわれ後白河院の意になる蓮華王院宝蔵ほうぞう】中の六道絵にあたるものと推定する説もある。本図を含むこれらがただちにその六道絵にあたるかについてはなお慎重を要するものの、画風からみて平安時代末期から鎌倉時代初期制作になるものであり、まとまって制作され背景想定することは認められるであろう
 本図断簡ではあるものの、以上のような複数の国宝本をはじめとする諸本と並ぶ貴重な遺品であるとともに、僧の苦悶の姿や表情動感のある充実した画面構成卓抜した筆致で表す点で他本とは異な優れたものさえ見られる加えて九世紀に宮中から始まり一〇世紀初めにかけて全国広まった南都の僧による仏名悔過【けか】が沙門地獄説く仏名経』を典拠とし、その修法の際には「地獄変御屏風」が使用されていることから、沙門地獄である本図このような古く遡る伝統根ざしている可能性もある。このような点でも本図は絵画史上貴重な作品といえる


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