節足動物の外骨格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 07:20 UTC 版)
関節肢の構造 関節肢の機構 サソリの外骨格 エビの背甲(赤色ハイライト) 詳細は「節足動物」および「関節肢」を参照 節足動物はほぼすべてがクチクラでできた外骨格を有し、キチン質で、原則として関節で複数のユニットに分かれている。例えば体節は上下に背板(tergite)や腹板(sternite)などという板状の外骨格に、脚などの付属肢(関節肢)は肢節(podomere)という円筒状の外骨格に分かれ、運動性に優れたものが多い。体を支えて外敵から内部構造を守る以外にも、水棲種の場合は水圧の変化にも対応し、陸棲種の場合は表面に蝋を分泌して体内の水分を保持する役割も果たしている。なお、この外骨格は成長と共に大きくならず、他の脱皮動物と同様、代わりに既存の外骨格の内側から新しい外骨格を形成し、脱皮で古い外骨格を抜き捨てて成長する。 隣接した外骨格の関節部分は蛇腹様の構造をとり、可塑性をもつクチクラ(節間膜 arthrodial membrane)に覆われ、特に関節肢はピボット状の支点(関節丘 pivot joint, condyle)で連結される場合が多い。外骨格の関節付近の内部には、腱に相当するクチクラ質の内骨格(internal tendon, apodeme)が付着しており、それを筋肉で引っ張ることによって各部を動かすことができる。また、隣接した外骨格は関節周辺から潤滑物質を分泌することで、関節の摩擦を抑えることも知られている。 体の複数体節をまとまった部分(合体節)は節融合が進み、単体の外骨格に覆われる場合が多いが、その融合の程度は分類群により異なる。例えば昆虫などは頭部の体節のみ外骨格が一体化しているが、一部の甲殻類、例えばカニやエビなどの十脚類では頭部と胸部がまとめて頭胸部を形成し、背面が大きな甲羅状の外骨格(背甲)に覆われている。
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