節足動物の繭
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 14:13 UTC 版)
節足動物では、昆虫やクモなどの一部で見られる。 昆虫では、上述の鱗翅目のガの一部で絹糸の繊維質のものが見られる他、アミメカゲロウ目のクサカゲロウやウスバカゲロウなど、ハチ類やアリ類、トビケラ類などの幼虫がやはり糸を吐いて繭を作る。カブトムシなどのコウチュウ類には泥をかためてはっきりとした入れ物を作って蛹になるものがあり、これも繭と言うことがある。ユスリカ科にも蛹化の際に粘液を袋状に固めた半透明の繭を作るものがあるが、特殊な例としてはキソガワフユユスリカ Hydrobaenus kondoi やその近縁種の幼虫が夏眠のための繭を作ることが知られている。ハエ類の幼虫は、蛹になる際に幼虫の皮膚の内側で蛹になり、幼虫の皮膚はそのままに蛹を包む殻になる。このような蛹の形態を囲蛹(いよう)と呼ぶが、これも機能からすれば繭と言えなくはない。なお、ミノガやトビケラなどでは幼虫が普段の生活で糸でかがって異物を付着させた巣を作ってその中で生活しており、蛹化時にはこれに閉じこもるので、巣が繭に転用されている。 昆虫以外では、クモ類には卵を糸でくるむ習性があり、これを卵嚢と言う。種によってその形は様々であるが、ナガコガネグモなど、一部の種では表面を丈夫な膜で包んだ袋を形成するものがあり、これは繭に似ている。しかしそこにこもる本体が作ったものではない点で大きく異なる。
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