第二次世界大戦における「中立」とは? わかりやすく解説

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第二次世界大戦における「中立」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 09:56 UTC 版)

エイモン・デ・ヴァレラ」の記事における「第二次世界大戦における「中立」」の解説

詳細は「第二次世界大戦期アイルランドの局外中立」を参照 第二次世界大戦勃発前から初期にかけて、ナチス・ドイツアイルランド動向強い関心示していた。たとえばアイルランド侵攻することで、イギリスに対して軍事的優位に立てるのではないか、あるいはIRAをうまく対英戦闘従事させることはできないか、などといったことであり、一時実際にアイルランド政府交渉働きかけてもいた。ドイツはなんとかアイルランド政府歓心を買おう努力したが、その努力はほとんど実らなかった。デ・ヴァレラアイルランド自由国中立に関して頑として譲らなかったからである。英国情報部MI5は、アイルランド動き注意を怠らなかった。アメリカ合衆国当初中立標榜していたにもかかわらず真珠湾攻撃きっかけ連合国側に立つことになるが、アイルランド終戦まで中立守り続けた。ただ、アイルランド政府内ではドイツ、あるいはイギリスアイルランド侵攻する可能性もあると危惧していた。 アイルランドの「中立」には裏があった。現在までの研究で、アイルランド政府密かに連合国側加担していたことが明らかになっている。たとえばノルマンディー上陸作戦決行日(D-デイ)は、アイルランドから送られ大西洋気象情報をもとに決定された。また、アイルランド連合国側パイロット不時着すると、「偶然」北アイルランド逃れることができたが、ドイツパイロットはみな捕らえられ収容された。さらに、45千人ものアイルランド人義勇兵連合国軍加わっていたが、このことに関して政府一切干渉しなかった(それ以前スペイン内戦では、アイルランド人義勇兵としての参加政府によって禁止されていた)。アドルフ・ヒトラーの死に際してデ・ヴァレラは、ダブリン駐在していたドイツ公使エドゥアルト・ヘンペルを公式に訪問し弔意述べた。このことは連合国側から非中立行為として批判されたが、デ・ヴァレラにとっては、中立標榜しながら連合国側加担していることをカムフラージュするために必要な行為であった。 名前だけのものであったとしても、当時アイルランドおよびデ・ヴァレラにとって「中立」以外に選択肢はなかったといえる。もしドイツ組もうものならイギリス軍即時侵攻予測されるし、さんざん批判してきたイギリス組もうものならデ・ヴァレラという人物の政治信念そのもの問われることになる。また公然と連合国側につけば、これに反発するIRAイギリスに対して攻撃仕掛け可能性もあり、それもまたイギリス軍アイルランド侵攻につながるだろう。デ・ヴァレラはこの事態危惧しIRA牽制しようと、獄中にあったIRA闘士たち数人処刑している。 歴史家たちは、当時アイルランドにとって中立ベスト選択肢であったということでは一致している。なぜなら、アイルランド長大海岸線有していながら、それをカバーできるほどの兵力持っていなかったからである。もしアイルランド連合軍加われば連合軍ただでさえ十分でない戦力を、アイルランド海岸線防衛のために割くことを迫られであろうし、ドイツにとっても連合軍弱点としてそこを狙う価値出てくる。しかし、アイルランド中立標榜したため、もしドイツ無理に侵攻すれば国際社会非難浴びひいては強力なアイルランド人ロビーを持つアメリカ合衆国政府を動かすことになる。そう考えると、第二次大戦初期においてアイルランド中立宣言したことは、連合軍に加わる以上にドイツ侵攻を防ぐ効果があり、やがて後顧の憂いなく東岸兵力集中できることでイギリス軍利することになった2005年には公文書館から秘密文書開示され1942年MI6アイルランド政府対し極秘裏に連合国側への参戦要請しデ・ヴァレラがこれを却下していた経緯明らかになっている。

※この「第二次世界大戦における「中立」」の解説は、「エイモン・デ・ヴァレラ」の解説の一部です。
「第二次世界大戦における「中立」」を含む「エイモン・デ・ヴァレラ」の記事については、「エイモン・デ・ヴァレラ」の概要を参照ください。

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