立地と地域概況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/16 19:42 UTC 版)
横手盆地の北半を占める通称「仙北平野」は、北流する雄物川およびその支流で南西に向かって流れる玉川の流域に相当し、これらに注ぐ斉藤川・斉内川・丸子川・出川などの小河川はさらに多くの支流を集めて東の奥羽山脈から西に向かって流れている。これら小河川の堆積作用によって、山脈の西麓(盆地東縁部)には六郷扇状地や千屋扇状地をはじめとする多数の複合扇状地が発達しており、その扇端部には長野・豊川・清水・横沢三本扇・横堀・高梨・千屋本堂城廻・畑屋・六郷・飯詰など、伏流水の湧き出る湧水地帯が南北に連なり、扇端部およびその西方の後背湿地は古くから美田の広がる「米どころ」として知られてきた。とくに六郷湧水群は、古来「百清水」と称され、昭和60年(1985年)には「名水百選」にも選定された湧水の多いところで、伝統的に日本酒醸造業や清涼飲料水の製造がさかんな地である。一方、谷口にあたる扇状地扇頂部ではこれら小河川の水を灌漑用水として使用してきた。 しかし、扇頂部と扇端部の中間に広がる扇央部の伏流水地帯(神代村真崎野、豊岡村の柏木野・木内林、長信田村の田屋野・小曽野・千本野、横沢村の駒場野、千屋村の若林野、金沢町から六郷町六郷東根にかけての明天地野の各地域)は、地表面では水無川となっていて水が得にくいうえに、土壌は砂礫層が卓越して保水力に乏しいため稲作には向かず、林地、牧草地、畑地、道路、また明治以降は桑畑などとして用いられてきた。このうち、林地は木炭の一大産地であり、かつては燃料資源において重要な位置を占めており、農家の冬期間の副業として炭焼きがさかんにおこなわれていた。野ツツジやアカマツ、スギの広がる原生林も広大な面積を占めた。牧草地は、主として馬産のために活用され、農耕馬・軍馬を供給した。仙北郡中西部の神宮寺町笹倉には国立の種馬所があり、南端の飯詰村山本には江畑新之助が建設した後三年競馬場があった。養蚕もまた、戦前の地域経済を支えた。初代六郷町長を務めた畠山久左衛門は、当地の養蚕業の発展に尽力した人物として知られている。
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