科学技術関連施設
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 07:31 UTC 版)
「東日本大震災による各種施設の被害」の記事における「科学技術関連施設」の解説
この震災は、東北太平洋岸や関東東部の科学研究施設や実験施設にも大きな影響を与えた。 東北大学(宮城県仙台市)では、学生2人、入学予定者1人が津波で死亡した。農学研究科付属施設など28棟が建て替えが必要な状態となり、実験機器約7,000台も損壊した。 筑波大学、産業技術総合研究所、高エネルギー加速器研究機構(以上茨城県つくば市)、J-PARC(茨城県東海村)などでは、地震によって多くの装置類が損壊した。また地震直後の停電では冷凍庫や水温維持装置が機能せず、遺伝子サンプルや生物類の多くが維持できずに失われた。その後の計画停電も、大電力を必要とする実験施設の再開を困難にしている。 大槌町にあった東京大学大気海洋研究所は建物・設備とも全壊した。 宇宙航空研究開発機構の筑波宇宙センター(茨城県つくば市)では、国際宇宙ステーション (ISS) の日本実験モジュール「きぼう」や宇宙ステーション補給機「こうのとり2号機」の運用管制ができなくなったため、管制業務を一時的にアメリカ航空宇宙局 (NASA) に移行し、3月22日に筑波での運用管制を再開した。 情報通信研究機構のおおたかどや山標準電波送信所(福島県田村市・川内村)では、3月11日14時48分31秒から16時40分12秒にかけ、地震及び地震被害回避を期して停波が実施された。翌3月12日に福島第一原子力発電所事故に伴う災害対策基本法の避難指示区域(半径20km圏内に該当)に指定されたため、19時46分より再び停波を実施した。その後、誤った電波を発射しないよう監視する仕組みなどを追加することにより無人で運用できるよう改修し、4月21日13時54分に暫定的に送信を再開したが、4月25日12時6分に発生した落雷により再び停波した。同送信所周辺は4月22日以降警戒区域に指定されているが、5月9日に職員が送信所へ一時立ち入りして機器の修理を行い、同日13時8分から再び暫定的に送信を再開している。ただ、送信再開後も雷の発生等天候の状況によっては落雷回避の為に遠隔操作による停波を実施している。 国立天文台の水沢VLBI観測所(岩手県奥州市)では、3月11日の本震によって観測所自体が東へ2.09メートル、南へ1.15メートル(合わせて東南東へ2.4メートル)移動し、0.13メートル沈下したことが、GPSや欧州宇宙機関が運用しているガリレオ衛星を用いた観測から明らかになった。その後の余震などによってさらに1割程度の動きが加わり、3月下旬までに元の位置から東へ2.36メートル、南へ1.23メートル動いている。
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