研究生活と留学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 09:16 UTC 版)
「上田実 (医学研究者)」の記事における「研究生活と留学」の解説
グリーンを通じて知った培養細胞で、皮膚をつくるという魅力的な研究に上田は従事。「それまであった迷いは完全に払しょくされ文字通り寝食を忘れて実験に没頭した。2、3日の徹夜はざらであり、空腹を感じても食事に行く時間が惜しく、角砂糖を頬張りながら実験を続けた。実験のたびに新しい発見があり、同時に次の疑問が生まれる。この体験は研究者としての生涯をおくる決心をさせるのに充分であった。」と上田は述べている。やがて日本でも数少ない培養皮膚の研究者として存在感を発揮するようになる。 名古屋大学に入り12年経過した1990年、思いがけないチャンスに恵まれ海外留学を果たす。当時、留学先としてはアメリカが人気で、先輩たちも西海岸の大学を目指していたが上田はあえてヨーロッパへの留学を希望。医学を専攻しながらも、芸術に対する憧れは消えることはなく、ヨーロッパにはアメリカにはない文化があると感じ想いを馳せていた。 スウェーデンのイエテボリ大学はチタンと骨の結合研究で世界をリードしており、ENT(耳鼻科)に籍をおき耳の再建手術を学ぶ。またスイスのチューリッヒ大学は頭蓋顔面手術の最高峰で世界中から外科医が集合し上田も参加、日本ではみられない最新の手術を習得し顎顔面外科医として得難い経験を積む。 ヨーロッパ滞在中、バックパックを背負い単独でヨーロッパ中を回る。西はジブラルタル海峡から東はバルト海まで放浪した。「これほど幸福な時を私は知らない、もし人生で一番幸せだった時を尋ねられたら、躊躇なく留学時代を挙げるだろう。」と上田は当時を振り返える。
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