研究の評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 01:50 UTC 版)
常温核融合研究者は、上記のうち主な報告については少なくとも定性的な再現性はあると考えている。他方、批判的な意見として次のようなものがある。 このような実験結果は現代物理学の常識的な理論とあまりにもかけ離れている。新しい理論も構築されていない。 中性子やγ線が予想よりも少ない、もしくは検出されないことは核反応がないことの有力な証拠である。 過剰熱や生成物の実験結果が材料の汚染、測定の間違い、あるいは結果の解釈の間違いであった事例が多く存在する。 特許取得等の動機から結果の検証に必要なデータを充分に公開しない、あるいは秘匿する事例が多く存在する。 常温核融合研究者による論文は対照実験が充分でない、機器の較正が正しくされていない等これらの現象が起きたと証明するには不十分なものが多い。 信頼できる大きな研究機関ほど現象の発生を報告する事例が少ない。 信頼できる査読付の論文誌に載る事例が少ない。 現代においては最終項が重要であり、科学的に証明された論議、事項として取り扱われるためには、信頼できる査読つき論文誌、たとえばWeb of ScienceやScopusに登録された著名な国際的科学専門論文誌の審査に合格し、掲載出版されることが必須条件である。その論文出版によって研究の成果が裁定され、研究予算の分配が行われている。テレビインタビュー、新聞記事、一般雑誌記事、インターネット上での配信、あるいは未発表研究のみでは信頼できる科学成果としては認定されない。 この点、ヒュー・プライス(ケンブリッジ大学名誉教授)は、2022年1月に発表した論文内で、常温核融合が気候変動という地球規模の問題を解決できる可能性を秘めているにもかかわらず、30年以上前の一つの失敗例によって「世評の罠(reputation trap)」に陥っており、査読付き論文誌への掲載を含め、必要以上に世間に受け入れられづらい状態が続いていることに警鐘を鳴らしている。
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