発音と動詞の活用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 15:17 UTC 版)
「リオプラテンセ・スペイン語」の記事における「発音と動詞の活用」の解説
アルゼンチンとウルグアイの話し方の特徴の一つがボセオである。二人称単数の代名詞にtúの代わりにvosを用いることである。ボセオ はまたスペイン語を話す別のコミュニティでも用いられるが、しかしそれは普通、標準的ではない労働者階級であるか地方の変容した表現であると考えられる。ところがアルゼンチンにおいてはボセオが標準で、テレビ番組など公式な場合でも用いられる。ボス("vos")は伝統的な(スペインの)カスティリャのスペイン語で二人称複数形("vosotros")のものに類似した動詞の形と共に使用される。 Túはアルゼンチンで通常用いられない。しかしながら、スペイン語版ウィキペディア(es:Wikipedia:¿Tú o usted? を参照)やGoogleのスペイン語版などの国際的な場における書き言葉ではtúが用いられている。 二人称複数形は、スペインではvosotrosであるが、リオプラテンセ方言では大半のラテンアメリカの方言のようにustedesに置き換わる。ustedはフォーマルな二人称であるが、その複数形のustedesは中立的であり、友人に対しても公式な場面での知り合いに対しても使用されうる(en:T-V distinction を参照)。 "Ustedes"は文法的に三人称複数の動詞を取る。 動詞のamar を例にとって活用の変化を見てみると: amarの活用人称/数カスティリャ方言リオプラテンセ方言1人称単数 yo amo yo amo 2人称単数 tú amas vos amás 3人称単数 él ama él ama 1人称複数 nosotros amamos nosotros amamos 2人称複数 vosotros amáis ustedes aman 3人称複数 ellos aman ellos aman となる。 ^ Tú amás はウルグアイのみで用いられ、Vos amásも併用される。しかし、túとvosは同義的に用いられるわけではなく、vosはより親しい間柄でのパーティの会話で用いられる。公的な場ではusted amaを用いる。 ^ Ustedesはラテン・アメリカ諸国全般で用いられている。これはスペインでは公的なスピーチにおける2人称複数形として用いられる語である。 amas から amás などの強勢の移動がみられるものの、これらの強勢は、かつてvosに対する動詞の屈折 vos amáis の二重母音が消失し vos amás となったことの名残である。この現象はvosに対するser(英語のbe動詞にあたる動詞の一つ)の活用がvos soisからvos sosになった点にもはっきり見られる。perderやmorirなどのスペイン語の不規則動詞において、強勢の移動は語幹の変化の原因ともなっている。 perderの活用カスティリャ方言リオプラテンセ方言yo pierdo yo pierdo tú pierdes vos perdés / tú perdés él pierde él pierde nosotros perdemos nosotros perdemos vosotros perdéis ustedes pierden ellos pierden ellos pierden -ir動詞においては、カスティリャ方言ではvosotrosは動詞語尾-ísを形成し、二重母音の単純化は存在しないが、リオプラテンセ方言ではまったく同じ形のままtúに替わってvosをとるためtú vivesに替わってvos vivís、tú vienesに替わってvos venísとなる(強勢の位置に注意)。vosに対する命令形はカスティリャ方言での複数形に対する命令形の形から語尾の-dが脱落した形をとる(強勢の位置は変わらない)。 Hablá más alto, por favor. "もっと大きな声で話してください。"(カスティリャ方言ではhablad) Comé un poco de torta. "少しケーキを食べなよ。"(カスティリャ方言ではcomed) Vení para acá. "こっちに来て。"(カスティリャ方言ではvenid) なお、ir(se)の命令形としては標準語ではVete.だが、アルゼンチンではAndá(te).が使われる。 複数形に対する命令形はustedesに対する形をとる。 vosに対する仮定形の動詞は、túに対する形が用いられる傾向があるものの、話者によっては古典的なvosに対する形で、カスティリャ方言でのvosotrosの形から語尾の二重母音のiを落としたものを用いる。多くの人はtúに対する仮定形を用いることが正しい用法だと考えている。 Espero que veas or Espero que veás "I hope you can see"(カスティリャ方言ではveáis) Lo que quieras or (less used) Lo que querás "Whatever you want"(カスティリャ方言では queráis) 過去形においては、頻繁にsが加えられ、たとえば(vos) perdistesなどとなる。これは、文献での古典的なvosに対する動詞の変化に見られる。この用法は誤りと見なすことがよくある。イベリア・スペイン語ではvosotros perdisteisである。 他の動詞の変化形はvosotrosに対する形からiが脱落したものが用いられる。 Si salieras "If you went out"(カスティリャ方言では salierais)
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